2011年11月17日木曜日

父へ

気取らない、自然な父の姿。麩屋町の奥の部屋に飾っています。

早く逝ってしまいました。休日などなかった父。ご奉公以外で父と出掛けたのは一度か二度。二人で金沢に一泊したことがあったかな。それだけ。海外など、ご奉公でも家族でも、一度も行ったことがなかった。

子どもの時も、中学や高校、大学生になっても、あまり一緒にいた思い出がない。横浜と京都、高齢になった日峰上人や小千代祖母へのお給仕もあり、家族はいつもバラバラに行ったり来たりしていたように思います。しかし、いま振り返っても深い絆や愛情を感じています。

「お前はたかがジェットのプロか」
「風邪引くなよ、バカ」
「アホ」
「調子に乗るな、バカ」

父の言葉を思い出すとボロカスで笑えます。でも、笑えるほど仲良しでした。

父は、僕の腕の中で息を引き取りました。看取ることが出来たのは、父の生前、唯一の、せめてもの、親孝行だったと思っています(涙)。

親不孝な自分が、生きている間に出来なかった父への恩返し。これからも、一生かけてしていきたいと思います。

「お前は俺の芸術品だ」

心配をかけながら、泳がせてもらっている間に学んだこと、まさに命がけで教えてくれた佛立魂を胸に、父が作った作品として、精一杯価値ある生き方をしてゆきたいと思います。

亡くなる直前の言葉。

「お前がやるしかないだろう、バカ」

この11年半のご奉公を、父は見ていないのだから、あの時、どれだけ不安だっただろう、と考えます。きちんと出来るのかすら、分からなかったのだから。

強くて、繊細で、でも豪快で、優しくて、厳しくて、本当に魅力的な人でした。この写真の顔、大好きです。本当に、父のようになりたいと思っています。とっても、会いたいです。

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