2013年2月14日木曜日

「私にとっての3・11 いのち つながりの中…」より


 来月、三月九日から十二日まで陸前高田にお伺いして、三回忌のご奉公をさせていただこうと思っています。妙深寺の本堂とも中継を結び、法要を勤めさせていただきます。写真は、一周忌の時のものです。

 昨年の十二月、黒崎とし子さんがお講席で紹介してくださった文章です。皆さまにご紹介したいと思っていて、なかなか出来ませんでした。黒崎さんからのご紹介の言葉も含めて、是非ご一読ください。

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NHK教育テレビ こころの時代〜宗教。 人生シリーズ
「私にとっての3・11 いのち つながりの中…」で放映されたお話です。

 宮城県の医師  岡部健(たけし)さんのお話

 人生を最後まで自宅で過ごさせたいと、患者を20年にわたり在宅緩和ケアを続けてきた。往診をしていた地域が東日本大震災の津波に襲われ、岡部さんは、いのちのつながりを改めて考える。

 これからの宗教の在り方が、岡部さんの経験から、とても考えさせられるお話がいっぱい有りました。

 在宅ケアは、相手の価値観の中に入る。相手の家に行くと言う事は、患者さんのサイドに立たなければいけない。ご家族はもとより患者から出て行けと言われたら何もできない。病院は、入院、退院も権限が医者にあり、居させてくださいと言っても選択できない。逆に患者さんが最後の時間を看取るまで、どんなものを必要とするか、しっかり準備すれば在宅フィールドのおもしろさもある。病院勤務の時は、人の命の向き合い方として「一人一人の命を一分一秒でも長く保たせる」と思っていたのですが、末期癌の患者さんから延命治療でなく、自然な死を望みたいと言われ、在宅緩和ケアで診た事で、死の受け止め方を知った。28歳のお母さんが、死の直前、おじいさんがお迎えに来たけど子どもが小さいから追い返したと。

 日本のスピチアルケアの原点には、死生観、地域の中に非常に多く関係している。緩和ケアの目標に、身体、精神、社会性、霊性があり、WHO(世界保健機関)の目標としている定義が全て入っていた。

 私は今まで病院で死亡診断書を書く医者であり、看取りとは別と痛烈に認識していた。医学の理論での治療ではなく、患者の心に寄り添いながら診察する。ケアしながら患者の気持ちを聞く、そんな中で、お迎えが来るのを待つ。何年、何百年たっても魂は生きているから、特に東北がそうなのかも知れないが、あの世とこの世が繋がっている事を感覚で自然に持っている。そうだから各家で神棚、仏壇があり大事にして祈り、死を恐れない。

 亡くなる一週間前に、あの世からお迎え来るのが見える。病院では見えた患者は、幻覚と病気の分類の中に入れられ薬を出す。緩和ケアの場合は、その人にとって苦痛なのか苦痛でないかを知り、お迎えが来た患者は、穏やかになっている。お迎えが来ることによって、あの世のつながりの道しるべを感じるからである。

 2012年、自分(岡部さん)が胃癌となる。自分の命の行方を見つめる時が来たが、自分が緩和ケアしているのに、自分が死んでいくのに準備不足と思った。行く道しるべが何も見えない中、母親が亡くなり、今までいくつもの法事をしていたのに、お経が新鮮な物で「なんて素晴らしい事が書いてあるのか」病気をして気づく。60年間、なまのものを見ないで目かくしてしてきた。

 3・11では人のために命を投げ出した人。本能に近い反応を出す。人間って自分中心に考えている動物と思っていたが大津波など予測しない中、人のために命を投げ出すような、本能に近い気持ちが人間の中に有るのだと。

 また、生と死に向き合い、考え、荒波をくぐり抜けて来た。これからは、宗教者の出番。亡くなる前に「こんな時間は、お経を唱えると良いですよ」と伝える宗教家がいれば、穏やかに家族も患者も看取れる。そういう知恵を40年前には地域に残っていたが、これを壊してきた。医者では戻すことができない。

 医学の中には、あの世学は無い。あの世は、宗教学の中にしか無い。臨床宗教家が出てきて、そういう場を作るのが大切。生き死にの崩壊は、病院の囲い込みが原因だ。ベルトコンベヤーのような経過死の間に、経過に付属していろんな宗教性とかを失った。人を看取れる、きちんと送れる時間がある文化に戻って欲しい。

 震災復興は、お金もいるがお金だけでは復興は出来ない。心を支えるのは、人の死をきちんと見つめて、受け止めていく文化が大事。(2012年9月、岡部健さんは死去されました。)

 黒崎の母も99歳。今年の9月ごろ、風邪から体力を無くし、危なかった時、本当は一週間前、母が曰く「青柳ヨシさんが足が無い姿で夢に現れた」と。そこで嫁の私がご宝前に「まだダメだ」と断りました。私たちは、ありがたいお題目があり、現証もいただけます。命の尊さ、つながりを改めてかみしめました。

 11日という日は、佐藤祐治さんのお講席で3・11の大地震を体験いたしました。昨日11日は前助行で、今日の教区お講の佐藤祐治さんの席でご披露出来たことが、岡部健さんの「いのちのつながりの中…」と何かご縁を感じました。12月はお懺悔と改良の月。

 来年の課題は、心の介護信者をめざそう!

2012年12月12日(水)
上星川教区お講 佐藤祐治さんのお席で
ご披露者:黒崎とし子

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