今日、長野で見せていただいた写真。そのまま心に残って、何度も見返しました。
昭和20年代の一場面が、モノトーンの、薄ーい一枚の写真に刻まれています。うっかりしていたら、歴史に埋れていたはずの写真だから、なおさら感動したのかもしれません。
劇的な、偉人の、世襲の者が語り継ぐような風景ではなく、一人の教務の孤独なご弘通の一場面。ブログも何もなく、その当時を物語る人も少なくなった今、今日この写真に出会えなければ、きっと、誰も見ることはないはずの写真、歴史、出来事です。
昭和初期、別の信仰をしていた男性が松山から長野の須坂に居を移しました。当時、信州に住む本門佛立宗の信徒は僅か。その信州に派遣されていた一人の佛立教務が彼と出会います。
師命を受けた教務は、「善光寺の門前」と言われる信州の地で、ご弘通に身命を捧げていました。孤独に歩む険しい道のりの中で、彼の瞳は、輝きを増していたに違いありません。
この教務に須坂で出会った彼は、自身の信仰を捨てて本門佛立宗の信徒となりました。以来、その地でご奉公に励み、石田氏をはじめとして、平成の今もご弘通を担う方々を教化されてゆきました。当時、須坂の佛立信徒は50軒を超えたといいます。
今日、こうして写真を見ました。私は単に過去を懐かしむのではなく、佛立のイズムを憶い、今の私たちのご奉公を振り返りました。恥ずかしい気持ちがします。孤独の中でご奉公していた教務。自分のご奉公をどこかに発表するわけでもなく、コツコツとご弘通を重ね、それを未来に受け継いでくださいました。未来に受け継げるだけのご奉公をしてくださったのです。
どうやら、私たちは果報を使ってばかりのようで、過去にしてくださった種まきの結果を収穫するばかりのようです。そんな、気持ちを強く持ちました。
しかし、いま、この方のお孫さんが、信州の地で思いを新たにご弘通に身命を捧げてくださっています。本人の意図よりも偉大な、天の意志、あるいは御法の御心を感じます。ご本人も、きっと、それを一番感じておられる。全く無信心だったのに、今こうしてご奉公されている。
このシナリオは、人間には描けません。いつも、言っていますが、やせ我慢の、思い込みの、妄想や幻想の類いではなく、「全ては完璧なタイミングで進行している」と確信できるから、本物です。あちらのシナリオは、すごい。
100年単位の幸せ、意図って、すごいです。その方が、「功徳はこれ堅牢」と仰せになっていた意味が、今になって、今更ながら、分かるのです。積みし功徳は、火にも焼かれず、水にも漂わずに、ついてくる。悪業もまた同じ。だから、有難いし、怖いのです。
本物はすごいです。偽物が多いから、つくづく、そう思います。改めます。ありがとうございます。
2013年2月7日木曜日
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