2011年12月30日金曜日

坂本龍馬の『藩論』

世界的な金融危機や日本の財政破綻を目前にした消費税増税の可否、与野党の迷走を見るにつけて、龍馬の「藩論」を思い返す。

年内の出版を期した「仏教徒・坂本龍馬」も実現は来年に持ち越しとなってしまった。一般書としての校正作業により時間をかけなけえればならない。今こそ、この龍馬の本が世の中に必要だと信じて止まないのだが。

坂本龍馬の政見と言われる「藩論」には、冷徹な彼らの政治信条が述べられている。

「然レトモ其多才ヲ稟ル者寡ク其浅智ヲ賦スル者衆シ。故ニ下民ハ大率愚ニシテ一事安ヲ易ルノ小害ヲ忌ミ、朦朧トシテ大利ノ在ル処ヲ弁セス。夫レ薬ヲ飲ム者ハ苦ク、 ヲ弾ル者ハ痛ミアリ。然レトモ此苦痛ノ故ヲ以テ薬ヲ飲マス、其 ヲ弾セサレハ、病愈ル事ヲ得ス、身治ル事能ハス。政ヲ治ムルモ亦然リ」

「しかしながら、優れた能力を授けられた人の数は少なく、圧倒的多数の人々が浅学である。ゆえに、下層階級の人々は大部分が愚かで彼らは目先の快楽を妨げるわずかな障害を忌み嫌う。彼らは朦朧としていて長期的な利益を識別することが出来ない。薬を飲むことは苦しく、潰瘍の手術には痛みが伴う。しかし、この苦痛を嫌って薬を飲まず、手術を拒んでいたなら、病は癒えず、身体が健康になることはない。政治とはこれと同じことであ
る。」

龍馬らの思想は、マキアヴェッリの如く冷徹で現実的であった。民衆の資質、政治家の資質を徹底的に観察した上で、現実的な政治手法を論じていた。君主制は独裁制になり、寡頭制は貴族制になり、民主政は衆愚政になる得るということを、彼らはすでに書いていた。

昨今の政治の混迷を眺めながら、一刻も早い出版をと思いながら、反省をしつつ年の瀬を迎えた。

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