本年最終の月を迎えました。来年はいよいよ先住の御十三回忌の御正当年となります。この日に向けた熱い情熱を心に蓄え、佛立菩薩の使命感を持って、報恩ご奉公に挑んでいただきたいと思います。
天体観測に優れていた古代マヤ文明は、極めて精緻な暦を持っていたとされます。この「マヤ暦」が、来年2012年の冬至(12月21日〜23日)で終わっていることから、「この日に世界が終わる」と世間を騒がせてきました。「ノストラダムスの大予言」と同様、こうした予言が的中するとは思えません。しかし、東日本大震災後、何が起きてもおかしくない状況が続いています。ご信心による正しい「危機感」は必要に違いありません。
お祖師さまの時代、正嘉の大地震(1257)は関東で大きな被害を与え、これに続いて関西の京都では大雨による大洪水が発生して甚大な被害を与えました。まるで今年の状況と同じです。その後の経過を辿ると、翌年も自然災害が続いています。当時の日本でも天体観測が盛んでしたが、正嘉の大地震以降は毎年のように月食と日食が続きました。大地震から3年目となる正元二年(1260)には、正月から天下に大飢饉と大疫病が発生し、続いて鎌倉で日食が起こっています。太平の世は去り、お祖師さまの時代と符合するような事態が昨今の世界の状況のように思えます。
来年2012年5月21日、全国的に日食が観測できることは分かっています。九州南部、四国南部、近畿南部、中部南部、関東地方など広範囲で金環日食の観測が可能となります。日本で見られる次の日食は2030年になるとのことですから、期待される珍しい天体ショーに違いありません。しかし、お祖師さまの時代と重ねて考えれば、いい出来事よりもマイナスの奇瑞や前兆として捉えて、ご信心を奮い起こし、天地の調和の乱れを憂えて、ご奉公させていただかなければなりません。
大自然は、歯止めの利かない人類の暴走によって荒廃を続けています。人間の心が荒廃しているのですから、当たり前のことでしょう。鎌倉時代よりも、天変地異が私たち人間によって引き起こされ、家族の生活や生命まで脅かしているのは明らかです。それなのに、多くの人はこれらを結びつけて考えることが出来なくなっています。放射能汚染も深刻さを増し、その悪影響は広がり続けています。「除染」とは名ばかりで、放射性物質は煮ても焼いても水で流しても無くなりはしません。この流れに、誰が歯止めをかけられるのでしょうか。
11月、オウム真理教の裁判が結審したと報道されましたが、現在インターネットの闇の中ではオウム以上に危険な宗教や思想が雑草の如く群生しつつあります。人々は仏教から遠ざかり、エセ科学、エセ心理学に傾倒して、自己肯定、自己満足の迷路の中に人々が埋没しています。「組織嫌いの神秘好き」という傾向は顕著になり、孤立し、小グループ化が続いています。
法華経の教え、南無妙法蓮華経の宗教は、天地自然の調和を取り戻す唯一の教えであり、真実の仏教です。「従多帰一」という法華経の思想は、「バラバラになったものが一つに帰る」という意味です。それこそ、み仏の思想の核心であり、私たちのご信心なのです。
お祖師さまは、次のようにお諭しです。
「但だ偏に、国の為、法の為、人の為にして、身の為に之を申さず。」安国論御勘由
自分自身のためにこれを言っているのではない。ただただ、国や社会のために、御法さまのために、人々のために、これを言っているのだ、とお折伏されています。
お祖師さまの時代と同様に、今後も不足の事態が続くのでしょうか。しかし、たとえそうした事態の中にあっても、立正安国論を学んできた妙深寺教講です。これからの混乱期に備え、法華経信仰の真髄を握り、自分たちに与えられた役割が果たせるように、世のため、人のため、御法さまのために、菩薩行に精進させていただきましょう。そして、そうしたご奉公の先にある、来年6月の先住日爽上人御十三回忌 報恩記念大会を、何としても、異体同心で、成功させましょう。
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