妙深寺『役中テキスト』2020.11.1
「班長さん、ありがとうございます」住職清潤
ありがとうございます。
令和二年、新型コロナウイルスは世界中を混乱と恐怖の中に陥れました。
欧米では第二波、第三波と呼ばれる感染拡大が続いています。これらに比較すれば、ひとまず日本では対策が功を奏していたと思われます。ウイルスの蔓延以前から日本人はマスクをする人が多く、欧米人からすると奇異に映ると聞いていましたが、こうした文化の違いや何らかの要素が感染の拡大を防いでくれているのかもしれません。しかし、いずれにしても予断は許されない状況です。
とんでもないことが起きているという事実。この事実を実感して、対策を講じることが大切です。何度も申しますが、鈍感になり、「ヤバイ」が「ふつう」になってしまっているとしたら、とんでもないことに巻き込まれてしまいます。
私たちが常々に教えていただいていることは、実感できなければ身につきません。改めることもできなければ、成長することもできません。何度も何度も御法門で教えていただいていることを、深く心で受け止めて、自分の血となり肉として、人にも伝えて、態度を改めたり、行動を起こしたりして、はじめて「ご信心している」と言えるのです。
令和2年は、本当にとんでもない年です。そのことを痛感しております。
去る10月20日、妙深寺の高祖会の奉修をお願いしていた長谷川日堯御導師が御遷化されました。あまりのことで言葉もありません。
先住が御遷化になられてから丸20年となる令和2年、伏見妙福寺の松本御導師が御遷化になられ、その義弟にあたられる長谷川御導師が後を追うように御遷化になられるとは思ってもいなかったのです。
5月末の松本御導師のご葬儀は、お通夜も本葬儀も長谷川御導師に奉修いただきました。尽七日忌の法要も、百箇日の法要も長谷川御導師のご奉修でした。
9月2日、伏見妙福寺で営まれた百箇日法要で、8月中旬から体調が優れず、翌日9月3日に精密検査をすると言っておられました。そして、重篤な病気が発覚したのでした。
松本日延御導師の百箇日、9月2日から数えてちょうど49日目にあたる10月20日、長谷川日堯御導師は御遷化になられたのでした。単なる偶然とは思えない日数の符号です。
ご遷化の前夜、長野から八王子清流寺の法宅へ伺いました。八王子駅で松本現薫師をピックアップし、清流寺へ向かいました。
長谷川御導師はベッドに座って待っていてくださいました。約一時間、海外弘通のこと、ロサンゼルス、オーストラリア、ハワイ別院、ご自身の葬儀のことについてまでお話がありました。壮絶な覚悟で自らの責任を果たそうとする御姿でした。当然ながら、妙深寺の高祖会にご奉公できないことをお詫びくださり、御導師に代わって清流寺の副御住職・長谷川清泊師に奉修をしていただくこともお話されました。
それからちょうど24時間後、長谷川御導師は御遷化になられたのです。
令和2年はとんでもないことが起こる、本当に大変な年なのだと痛感しています。常日頃から無常を教えていただいているのに、私たちは分かっているようで分かっていないのです。
生きている間のご奉公、一日一日、一瞬一瞬が、功徳を積むか、罪障を積むか、その瀬戸際であり、生命そのものなのです。
菩薩の病は大悲より起こる。次から次に身近な御導師が亡くなられたことに衝撃を受けていますが、もはや今こそバトンを受け取り、昨日は人の上、今日は身の上の無常の中、決して後悔することのないよう、精一杯のご奉公をお誓い申し上げます。
時代の転換点となる高祖会。一丸となってご奉公いたしましょう!
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