2010年1月31日日曜日

運動場の土の上

本当に盛大にご奉公が勤まり、来させていただいてよかったと、本当に、うれしくなりました。

お看経が始まってから終わるまで、奧さまが泣き続けておられ、深恭師も涙を流されていて、ご宝前に向かって、深く、深く、御礼とご挨拶とご祈願、ご回向をさせていただきました。

本門佛立宗のご信心を知らない、地域の方々や縁のある方々が、たくさんお参詣してくださっていました。ご宝前のお部屋が一杯の総勢50名。緊張しましたが、精一杯の御題目をお唱えさせていただきました。

独立され、遠くにお住まいの立派なご子息が2人、ご長男の奥さまもお参詣くださっており、はじめてお会い出来たので、本当に素晴らしい時間となりました。まだ、それぞれのお宅には御本尊さまを護持されていないということでしたので、近日中にご奉安されるようにお勧めしました。

お母さまが伝えてくださっていたようで、私のブログを見てくれていたと聞き、嬉しくなりました。これからメールで連絡を取り合う約束をして、ご長男のご夫妻は横浜の妙深寺まで来てくださるとのこと。次男の方のお宅は海外ですが、必ずご本尊のご奉安に伺います。本当に、ありがたいことでした。

思いは通じます。思えば通じます。思わなければ通じません。とにかく、偉大な教育者であったお父さまの意志をお伝えし、その思いを受け継いでいただけるようにしたいと思います。

ご信心をされていない方々との出会い、対話も貴重なものでした。本当に、勉強になりました。

教育者であったお父さまが、如何に子どもたちと向き合っていたか、別の学校で校長先生をされていた方からお話をお聞きしました。

学校の校長であるにもかかわらず、問題を抱えた生徒を見つけては、運動場にむしろをひいて座らせ、自分も同じむしろの上に座って、真剣に生徒の話を聞き、真剣に生徒に話をしていたそうです。

その学校を訪れ、その姿を実際に見たということですが、近づいて行っても、真剣に生徒と話をしているので、自分が後ろに来たのも気づかない。それほど、とにかく、子どもたちの気持ちを第一に考えておられたということでした。

病気になられ、病院にお見舞いに行った時も、「何をしに来たんだ。子どもたちのところに帰れ」と言われたと、涙ながらに話をしてくださいました。「教育者の鏡だ。教育者の神さまのように、私たちは思っていた」と仰っておられました。何と素晴らしいことでしょうか。

私は、教育者の鏡というだけではなく、佛立信者の鏡だと思います。

奥さまは、今回の法要の準備をしていた時、はじめてご主人の書斎から自筆のノートを見つけました。その書斎を使わせていただいていたので、私にも見せてくれました。分厚いノートでした。

そのノートは、お祖師さまの最重要御書である「観心本尊抄」の概要、由来、要点を、本門佛立宗の「信徒教範」から抜き出して、ご自身で書き直されていたものでした。地道にご奉公もされていたとお聞きしていましたが、ここまで深くお祖師さまの御意をいただこうとされていたとは、私の想像を超えていました。

奥さまが、「とにかく主人は日蓮聖人を敬って敬って、あのような方はいない、何があっても絶対に負けない、真実を貫く、といつも言って、心から敬っていました。」と仰っておられました。本棚には、教育関係の書籍と、ご信心の書物がずらっと並んでいました。

そのノートには、行を変えて、より力強い筆致で、「本尊抄をはらわたとし、四五抄の如く信じ、修行抄のとおりに行ずべし」とありました。これは最も大切な御指南です。佛立教講の、人生の、ご信心の、まさに指針です。何という、尊いご信心だったのでしょう。本物中の本物です。

子どもたちを第一に考え、生徒が苦しみ悩んでいる場所まで下りていって、一緒に土の上に座り、同じ気持ちを共有していた生き様。社会の中で、お祖師さまの教えを体現してくださっていました。本当に、尊いことです。頭が下がります。

いま、私たちはどうか。口先では何とでも言えます。この御指南を「知っている人」はいるでしょう。しかし、それを、体現できているかどうか。あなたの姿や生き方を見ていて、お祖師さまの教えが見えるかどうか。むしろ、見えなくしているのではないか。私は、まず教務として猛省します。

お寺の中だけ、仲のいい人同士だけ、というのではいけません。社会の中、人の渦の中で、土の上に座り、そこまで下りていって、ご奉公しているのかどうか。できているかどうか。身体から、にじみ出るほどの慈悲、信心、思いやり、いたわり、愛、これこそ大切ではないか。デモンストレーションでもジェスチャーでもノルマでもなく、全身から出てくる真実、ご信心、言行一致のご奉公、生きる姿が必要だと思います。

これほどの思いをもってご信心をされ、社会の中で実践しておられた方のお話を聞くことができて、本当に幸せでした。本物です。ありがたいです。

しっかりと、その思いを受け継ぎ、皆さんにお伝えしてゆきたいと思います。

これから、一人で電車に乗って帰ります。八王子経由。そこからは横浜線ですね。分かるかな。あまり乗ったことがありません(汗)。

明日から2月。6時半から月始総講(がっしそうこう)です。原稿ギリギリですいませんでした(汗)。今朝、何とか書き上げてメールしました。まだ印刷中かな。申し訳ない。

窓の外は暗くなりました。でも、心はあたたかく、本当に幸せです。ご奉公させていただき、ありがとうございました。

哀しみも、あります。いま、横浜には、私の大切な方が待ってくださっています。29日、帰寂されました。私の家族一同、大恩のある方でした。もう少しで戻ります。待っていてください。

ありがとうございます。

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