2013年8月29日木曜日

カウントダウン

「人間が歴史から学んだことは、歴史から何も学んでないということだ。」

戦争は無くならない。戦争が拡大する。戦争を利用する。戦争が始まる。

ダマスカスは、また血で染まるか。これまでもそうであったように。

欧米の真実と、ロシアやイラン、さらにその影にいる中国が掲げる真実に、大きな隔たりのあるまま、ついに戦火が開かれるのだろうか。

私たち日本人が考える以上に複雑な「パワーバランス」によって成り立っているのが中東諸国であり、そこに生きる人々であることを忘れてはならないと思う。宗教や宗派、王権や様々な階層が、長い時を経て、今を作り、今の状況を作り、今の安穏を作り、今の紛争を作ってきた。

そこに、世界の大きな二極の勢力が集約して介入し続け、ここに臨界点、沸点を迎えようとしている。

王政。圧政。これらはシリアに限ったことではない。なぜ、ここまで、シリア内戦が深刻化しているのか。

この国を囲む様々なパワーが、そうさせてきたのだと思う。

米国、英国、仏国。この勢力に日本もあり、安倍氏は早々にシリア政権を批判し、攻撃を容認する構えを示した。

シリア。その背後にはロシアがあり、最大の支援国はイラン。つまり、中国もこの勢力にいる。

世界を二分する勢力の、シリアに於ける対決。

「攻撃は限定的なものになる。」

信じがたいコメントで、プロパガンダ的な側面が強いと思われる。攻撃の端緒を開くに当たり、世論を肯定に導き、駆け引きに利用するために出したコメントのように思われる。

ひと度、攻撃が始まれば、それは長い戦争へと発展しはしないのか。

なぜ、国連が、化学兵器の使用疑惑に対して調査団を派遣し、まさに調査している最中に、化学兵器の使用を断定し、欧米各国は歩調を合わせ、世論を醸成させていくのだろう。

イラク戦争の苦い経験が、それらの情報の信憑性を疑わせる。

あの時も、ずっと戦争を始める口実作りに付き合わされていたのだから。

ハリウッド映画ですら、次々とあの茶番劇を暴いてきたではないか。

イラク戦争に火をつけた「大量破壊兵器」スクープは「御用記者」の誤報だった。マット・デイモン主演の映画『グリーン・ゾーン』は米国政府の情報操作をテーマにしていた。CIA工作員名漏洩事件で有罪となり、服役もしていた元ニューヨークタイムズ紙のジュディス・ミラー記者をモデルにした映画。

また、イラクに大量破壊兵器が存在しないことを公表したために、アメリカ政府の厳しい報復に遭った元CIAの女性エージェントの実話「プレイム事件」を映画化したのが『フェア・ゲーム』だ。ナオミ・ワッツとショーン・ペンが好演している。攻撃と戦争が「目的」となった時、「真実」はその政策の主観に基づくものに限られる。真実は、どうでもいいのだ。政府の真実に従わない者は、裏切り者として破滅ささえられる。現実世界のスパイの実話は、スパイ映画よりも理不尽で恐ろしいと突きつける。

イラク戦争の直前、2003年2月5日、国連の安全保障理事会で行われたパウエル報告は、イラクが化学兵器や生物兵器を密かに開発し、所持していることを、衛星写真や航空写真、地図を用いて説明した。後に、これらの全てが、事実誤認や捏造された情報だったと判明している。

国連が、茶番劇の舞台にされたことは、国連決議の前にアフガニスタンに侵攻したことよりも、歴史的な出来事だったと思う。

僕は、ほとほと呆れかえった。だから、2003年11月、一人でイスラエルに行った。目の前で繰り広げられる戦争のライブ映像の中で、バタバタと子どもたちが傷ついていくのを見ていられなかった。この根底に、何があるんだ、と憤慨していた。

ジョージ・クルーニーとマット・デイモン、ジェフリー・ライトが共演して、また虚しく、非情な、国際政治と利権争いを描いたのが映画『シリアナ』。体重を大きく増やして名演したジョージ・クルーニーは製作総指揮も務めた。

こうした映画、冗談で、フィクションであって欲しいと願うが、実話に基づいていたり、実話とすれば製作すら出来なくなるから仮名や偽名にしているだけ。つまり、こうしたことが、現実に起きているのが、国際政治であり、巨大なエネルギー産業や軍需産業、銀行や国際シンジケートなのだということが分かる。

もう、これしか方法はないということで、踏み込んだのだろうか。

このタイミングしかないということなのだろうか。

唯一の超大国の座が揺らぐ米国は、この機を逃せばさらに二極化が進み、もっと危険な状態になると判断したのだろうか。

確かに、新たな二極化は着実に進んでいる。

すでに、シリア攻撃は第三次世界大戦につながるというコメントもある。本当に、人類は、またそんな愚かな方向に歩みを進めてしまうのだろうか。

各国の政策や思惑による「真実」ではなく、共通の(愚かという人もいるだろうが)真実に依れないか。

いま、また攻撃しないにしろ、攻撃が始まってしまうにしろ、看過する過ちを繰り返さないために、耳目を見開いておきたいと思う。

沈黙するイスラエル。米国政府に大きな力を持つユダヤロビー。シリアをどうするかということについて、彼らが暗躍していないはずはない。

とすれば、やはり、私は、あのイラク戦争の時と同様に、この人類が繰り返す過ちの根底に、宗教や思想の問題が横たわっていると考える。

だからこそ、人類の思想的次元上昇を、真実の仏教によって実現しなければならないと、切に思うのだ。

カウントダウンは、もう始まっているかも知れないが。

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