長野県飯田市で、農業の師・久保田初男さまのお見送りをさせていただきました。
まだお布団に寝ておられました。枕辺に座り、涙が溢れました。嗚咽してしまいました。
96才。腰の痛み、手足のしびれもあったし、哀しむことはない、見事な寂光参拝の姿なのですが、今生人界の思い出を振り返り、懐かしく、寂しく、やはり涙が出ました。
飯田市でご奉公させていただくこととなったのは、スリランカの難民キャンプから戻った直後の平成21年10月1日、飯田から柳澤さんと纐纈さんのお二人が妙深寺までお参りされてからのことでした。
言葉に尽くすことはできない、語り尽くせない、さみしい気持ちややるせない気持ちがたくさんあった中、飯田でのご奉公を明るく、楽しくしてくれた存在の中心に、師匠がいました。
藤本御導師がご遷化になられ、本山のご宝前で24時間のお看経をさせていただきました。たしか二度目の24時間のお看経の直後、そのまま深恭師の車に乗って飯田までご奉公に上がったことを覚えています。
声が出るか心配だったけれど、纐纈先生の三回忌を無事に勤めることができました。平成22年のことだったと思います。
2013年5月14日、納屋の中で七輪を囲んだ夜は忘れられません。そのまま家に泊めてもらいました。春も秋も、田植えも稲刈りも、野崎さんも一緒に参加してくれて、本当に学ばせていただくことばかりでした。
纐纈さんのお宅の庭でも七輪を囲ませていただき、楽しい思い出がいっぱいあります。いつも、皆さんが作ってくださるおにぎり、カレーライス、お漬物、何より粕もみ、最幸でした。
僕のスマホには師匠の写真がたくさんあります。昭和元年生まれ、苦労に苦労を重ねた若い頃のこと、農家の暮らしがどれだけ慎ましく、大変だったか、教えてくださいました。
庄屋さんに大八車を引いてお米を納めに行ったこと、みじめな気持ち、帰りに酒粕をもらって帰ってきたこと、戦後から今に至る農業政策のこと、いろいろな話が蘇ります。
今生人界、本当にお会いできて、よかったです。確実に、私の人生にも刻まれています。
これから告別式を勤めさせていただきます。ありがとうございます。
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