2011年1月15日土曜日

世界ゲーム革命

世界ゲーム革命、いや、人類ゲーム革命が、起きていると言われています。
これは、決して遠い世界の話ではありません。圧倒的なパワーで、世界を変えており、ビジネスの話ではなく、人間そのものを変えています。

何度か書いたことがありますが、私は大学で教育学を専攻していました。あまり勉強したと言えませんが、教育学上、「家庭用ゲーム機」の存在がどれだけ重要視されているかについてはよく覚えています。
1983年に「Nintendo」が発売した「ファミリー・コンピュータ(HVC-001:Home Video Computer-001)」、通称「ファミコン(FC)」は、人間や子どもたちに計り知れない影響を与えていると考えられてきました。事実、私も含めて、ファミコンに大変な影響を受けて育ちました。今でも、私の子どもたちもゲームが大好きです。そして、近年の家庭用ゲーム機器の進化は、インターネットと同じか、むしろ、それ以上に、人間の性質や人間の存在、生活の在り方そのものを変えようとしています。
私は、こうした変化に、危機感を抱いています。
ビジネスも、「ゲーム」を中心に回り始めています。全世界のビジネスの規模として、ゲーム関連事業はすでに映画産業を抜きました。これも革命が進行している象徴だと言われています。ゲームソフトの製作は、映画を製作するのと同じ規模のコストがかけられるようになりました。「コンテンツ・ビジネス」という一言では語り尽くせない、恐ろしいほどの技術革新とソフトの開発が、膨大な金額を投じて行われ、圧倒的な力で私たちの生活、脳の中身、精神性、性格、家庭を、変えていっています。

確かに、個々人が楽しむ「ゲーム」から、個々人が参加する「映画」が生まれ、そのゲームと映画からマーチャンダイズと呼ばれる関連グッズの商品群が生まれてくるというのは自然です。「参加」というキーワードは、極めて近代的です。そして、参加することによって感情移入は異常なほど高まります。子どもから大人まで、もう、これに太刀打ちできるコンテンツ・ビジネスはないと思われるほど、すごいパワーを持って迫ってくるように思います。

映像も音楽も、買う人が少なくなっているボーダーレスの時代。デバイスの進化にルールが追いつきません。CDも買わず、DVDも買わず、本も買わないと。淋しい気持ちがしますが、パソコンとインターネットに続き、iphoneに代表されるスマートフォンの普及やipadやkindleなどに代表される電子書籍端末の普及は、3D関連商品よりも重要な意味を持って世界を変えていることに間違いはありません。無声映画からトーキー映画の登場は、映画「雨に唄えば(Singin' in the Rain)」がテーマにしたような大胆な変化をもたらしましたが、それ以上の、まさに、世界ゲーム革命、人類ゲーム革命と呼べることが進行しているようです。
しかし、では、人間の心は?人間の資質は?

いま、人々は孤独を深めています。今ほど、人間が孤独になった時代はありません。
バーチャルの世界とリアルな世界。夢とうつつ(現実)。境界が失われて人が、狭い世界、閉じた世界に閉じこもり、現実世界での人との関係を断ち、その中から経験的に学ぶことを軽視してゆくことに危うさや脆さを感じます。

人間は、70年前後の人生だとしたら、23年間は寝ていることになります。同じように、23年間は仕事や勉強に費やされていると考えられます。そして、約9年間は何かを食べてる。いや、約9年間はテレビの前に座り、同じく9年間はパソコンの前に座り、さらに9年間は携帯電話を眺めているだけかもしれません。

こうして計算してゆくと、私たちの限られた命が、何に使われているか、実は、どれだけ時間が貴重かが分かります。

欧米が進めている、リアリティを追求した「戦争参加型ゲーム」の普及は、それこそ人類に何をもたらすか。脳にどんな影響を与えるか。語るべくもありません。

いま、スタジオ・ジブリとゲームクリエイターが結びついて、壮大な「二ノ国」という「ソフト」が開発されているようです。ジブリ映画が、ついにゲームと結びつく。その果てに何があるか、まだ、分かりません。平和があるか、教育があるか、さらなる現実逃避の、閉じた世界への誘惑が待ち受けているのか。

この分野での活躍を期待します。そして、私たち仏教徒も、この世界の動向を注視して、そして、人々の生き方、生きるべき道について、その使命を再考します。

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