2011年1月21日金曜日

ヤカン信心から水の信心へ

昨日の教区御講は、大先輩ご信者さんの小松嘉秋ご夫妻のお宅で奉修されました。

ご主人の嘉秋さんは87才。ご高齢ではありますが、ご信心が強く、本当にお元気です。身体でコツコツと実践してこられたご信心は、今でもご夫妻の人生を支え、輝かせ続けています。

ご高齢ながら、ふと気づくと誰も見ていない本堂裏の階段で、法城護持のお掃除をしてくださっています。一人で重たい掃除機を持ち、一段一段、丁寧に掃除機を当てられていて。そのご奉公の姿勢には、本当に頭が下がります。

今回の教区御講では、護持御本尊をお迎えになられてから50年を経過した御礼御講を併修させていただきました。昭和30年代、結婚したばかりの小松さん夫妻に、久子さんのお母さまが護持御本尊と御尊像をお迎えするようにお話されたそうです。ご主人はまだ何も分からなかったそうですが、その教えを素直にお受けしました。また、御講師方にご指導をいただきながら部長のお役を受けて、電電公社に勤めながら、帰宅したらすぐにお助行などのご奉公に出掛ける毎日。手探りながら、部長としてご弘通の最前線に立たれてご奉公くださったとのこと。

昭和30年代、乗泉寺で行われた日博上人のブラジル帰国報告会にお参詣され、直接そのご講演を聴かれた小松さんご夫妻。横浜に転居されて妙深寺の所属となり、ご主人は妙深寺の中央連合の連合長として、奥さまは永年上星川教区の名教区長としてご奉公くださいました。

人生には様々な日がありますが、今日まで、こうして健康で、心豊かに、ご夫婦共に過ごされてきたことを感謝したスピーチ。本当に、尊い。90才を目前にして、生涯通じてご信心をされてきた方が、「御法さま、ご信心のお陰です。ありがとうございます。」と仰せなのは、私のような若造の言葉と比べものにならないほど重たく、確かな響きを持っております。

本当に、お手本です。現在、上星川教区では黒崎さんの行動力によって「男助行」が盛んになりつつありますが、この中で往年のご奉公を為されてきた小松さんの教えや経験が輝いていると聞きました。後継の男性諸氏にとって、とても貴重なお話なのだそうです。黒崎さんや桑原さんがそう言ってくれるのを意気に感じて、また小松さんもご奉公の使命を感じてくださっている。有難い、功徳の循環です。

開導聖人は「信心用心抄」という御指南書に、次のようにご信心の仕方の間違い、悪い癖をご指摘です。

『「薬罐(やかん)信心」飛びたつように沸けども、冷えること早き信心を云ふ。
「雇はれ信心」御講も教化も一向にかまはぬ。雇はれ賃だけもらへばよしの信心を云ふ。
「居候信心」これ、教化する心なく、只御法にやしなはれて居るのみの信心。但し教化はでけずとも勧むる心あるは居候にあらず。
「中風(昔の脳卒中)信心」信心しびれ。幾度御利益をうけても其の時ばかりの信心を云ふ。
「高なぐれ信心」我よしの慢心。法門も知り顔して、売らず買はずの信心を云ふ。
「猫かん信心」有志参詣もだんだん後さがりの、猫に紙袋のようの信心を云ふ。
「め◇ら信心」相方かまはずの折伏、人を腹立たせ信心さますを云ふ。
「徳利信心」我が信心の腹は大きけれど、人に勧むる口小さき信心。二乗に近し。
「ぶう竹信心」声は大きく信者らしけれど、それ程に役だたぬ信者なり。
「ミミズ信心」折伏せざればのろのろと出るが、折伏すればびっくりして引っ込む。ミミズの如し。
右十条信者の悪癖。これをのがれて教化を心がけ、御法を敬ひ骨惜しみなく信行如才なき人、貴賎老若賢愚にかかはらず、必ず成仏す。誡むべし。』

お祖師さまは、南条時光さまに宛てられたお手紙で、次のように御妙判くだされています。

「抑今の時法華経を信ずる人あり。或は火のごとく信ずる人もあり、或は水のごとく信ずる人もあり。聴聞する時はもへたつ(燃立)ばかりをもへども、とほ(遠)ざかりぬればすつる心あり。水のごとくと申はいつもたい(退)せず信ずる也。此はいかなる時もつね(常)はたい(退)せずとわ(問)せ給ば、水のごとく信ぜさせ給へる歟。たうとし(貴)たうとし。」

とうとうと流れる、ゆるぎない、絶え間ない、大河のような「水の信心」を目指したいものです。

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