2011年6月2日木曜日

裏切りの日

1582(天正10)年6月2日、本能寺で織田信長が明智光秀に裏切られて自害した。俗に「裏切りの日」という。光秀は果たして暴君を排除した英雄か、それとも未来永劫汚名を拭えぬ悪人か。

巨大な復興予算を奪い合う権力闘争。「維新」の言葉が踊る昨今、また東北が権力者たちの犠牲となるか。

民主の分裂劇に大義などない。普天間の迷走を忘れた元宰相は引退表明を撤回した鳩山氏。もはや気まぐれな御曹司にしか映らない。普天間問題時、剛腕を発揮せずに頓挫させた小沢氏。復讐の鬼と化している政治屋になり下がってしまった。

こうした動きの背後で「地下式原子力発電所政策推進議員連盟」が発足し、それに名を連ねる超党派の重鎮ら。この政争の果てに誰が何を得て、何が始まるか。

中川秀直氏は日本混迷の元凶を、政・官・財・学会・メディア界に巣くう「ステルス複合体」と指摘した。それは真実、事実だと思う。身内共同体を優先する劣化したエリートたち。この見えざる病巣は、原発事故によってその姿を現しつつある。

ステルス複合体や原発ロビーらは、原発利権を貪り、たくみにその開発を推進し、安全性神話を作り上げ、管理基準を抜け穴だらけにし、危機にあたっても迅速な対応を遅らせ、最終的には責任の所在を見事に不透明にした。

そして、「裏切りの日」の今日、被災地や被災者や復興支援を建前にした権力闘争が佳境を迎える。もはや諸外国に日本の政治の現状を説明することは不可能だろう。民主党は分裂する。権力闘争は続く。

今後しばらく「船頭多くして船山に上る」ではなく「そして誰もいなくなった」状態となり、その後に人々を魅了する指導者が登場するか。それはヒトラーにも似た倒錯した独裁者となる可能性もある。

菅政権を支持するつもりもないが、厚顔無恥な権力闘争を繰り返す者たちに辟易している。小沢氏らに一誠はない。座右の銘も政治的な道具に過ぎなかった。

権実雑乱の砌。なにが真実で、何が偽りか、どっちがいいか等、混沌として見えてこない。

イデオロギーや宗教も抜きに国家経営を任せられるのは、宰相に孫正義氏、官房長官に橋下徹氏などという布陣が最善と夢想するのは私だけだろうか。

裏切りの日。炊き出しの準備をしつつ、国の行く末を憂いながら。

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