心臓に針を刺すような気持ちで、御講を勤めさせていただいたこと。
永遠に、忘れません。
彼女とはじめて会ったのは、2年前のことでした。
すい臓がんのステージ4。
手術が出来ない部位で、お医者さまからその年いっぱいの命と宣告されたとのこと。
自ら抗がん剤治療をしないと決断し、そんな時に、お会いしました。
あれから約2年。
本当にお元気に過ごしておられて、食欲もあり、またお会いすることが楽しみで。
2年間、濃厚な、濃密な時間でした。
今年の門祖会にお参りくださった時、病気が進行していることをお聞きし、腹水の溜まったお腹をさすり、いつものように抱き合って励まし合いながら、お別れしました。
5月5日、住職を迎えて教区御講の席主としてご奉公する。
病状の進行を考えると、それまで体力がもつのか、誰もが心配していました。
お助行にお伺いした時も、
「教区御講まで、生きていたい」
とお聞きしました。
そのような、想いを持たれた、教区御講です。
彼女の想いを受け止め、心臓に針を刺すように、その日を迎えました。
3時間ちかく、彼女は見事に席主としてのご奉公を果たし、家族全員の協力も得て、導師座の脇に座っていてくれました。
御法門終了後、30名を超えるお参詣の方々の前で、お礼とも、お懺悔とも、お別れのご挨拶とも受け止められる、涙なしではお聞きすることのできないお話をなさいました。
特に、それはご家族への、メッセージでもありました。
「世世恒聞法華経 恒修不退菩薩行」
「願わくば生々世々菩薩の道を行じ、無辺の衆生を度して永く退転なからんことをおもふものなり」
「いきかはり死にかはりつゝ法華経に 仕へん人を菩薩とぞいふ」
数日前、お助行にお伺いしました。
手を握り、今生のお別れをいたしました。
寂光参拝について、お話をしました。
私が、祖父や祖母から教えていただいてきたこと、先住や、妙清師に、見せていただいたこと。
それらの現証を。
今朝、結びの言上の最中、本堂の導師座にて、彼女が寂光へと帰られたことを、聞きました。
ご宝前に、言上させていただきました。
同じく生命を得て、同じく死を迎える中で、彼女は、あるべきお手本を示されたと確信します。
「諸行無常 是生滅法」
「生滅滅已 寂滅為楽」
「土器を捨てて宝器に替るが如くなるべし」法蓮抄
これから、久しぶりに妙深寺へお参詣くださるのを、待ちます。
境内には、様々な色の紫陽花が咲いています。
0 件のコメント:
コメントを投稿