本山宥清寺の、次はこの方と思われていた今達さんが亡くなり、お見送りに参列させていただきました。
「なにをおっしゃいますやら」
今達さんの口癖が脳裏に蘇りました。
長松寺の事務局長としてもご奉公いただいており、4日と16日のお総講では必ず受付に座ってご奉公くださっていました。
本山の境内でお会いした時のサイン、織悦さまで作っていただいた帯柄、後で「日桜紋」と名付けてくださったこと、今達さんのお着物と僕のサイズが同じで高尾さんのお宅でご指導いただいたこと。
お通夜、告別式に参列させていただきながら、思い返していました。
ご遺族のご挨拶をお聞きしながら涙が流れ出ました。
生粋の京都人、本山宥清寺の直檀、西陣織のプロフェッショナル。
ボーイスカウトとしても世界的に活動しておられました。
若い頃はアメリカの訓練キャンプにも参加されていたのですね。
“Order of the arrow”
祭壇に、ボーイスカウトアメリカ連盟のワッペンをはじめ、世界中、日本中のキャンプやジャンボリーのワッペンが縫われた制服が飾られていました。
早すぎる別れに言葉を失いましたが、お嬢さまである一九子さんの、本当に立派な、見事な、絶対にお父さんが誇りに思う、「そや、そやで」と褒めてくださる、素晴らしいご挨拶を聞いて、涙が溢れ、そのとおりだと思わせていただきました。
棺の中の今達さんは、それはそれは笑顔で、一点の憂いもなく、苦しみも悲しみもなく、美しいお顔で笑っておられた。
本門佛立宗の教講は、その死に際して悲しんではいけないよ、と教えていただきます。
悲しい、さみしい、それは当たり前だけど、その限られた時間の中で積み重ねた功徳、その大きな果報を思えば、悲しんでいたらこちらが叱られてしまう、と。
ご遺族が、お嬢さまが、涙をこらえながら、お父さまの意に沿うように、そう仰っておられたのに、私たちも御法さまの教えに沿って、なお頑張らなければならないと思わせていただきました。
生きていて欲しかった、まだまだ一緒にご奉公させていただきたかった、相談したかった、教えてもらいたかった。
必ずや現証の御利益を見せてくださると思っていた。
しかし、あの眠っているような、美しい笑顔こそが、今達さんの生きた証、ご奉公の証なのだと思わせていただきました。
“Order of tomorrow”
「明日のために」
ボーイスカウトのメッセージが、なぜか「Order of tomorrow(明日のために)」と見えていました。
きっと、それがメッセージなのだと思います。
僕の父は書いていました。
「先に逝くものは宿題を残す。人生とは何なのか。死とはなにか。生きるとは何か。信心とは何なのか。」
まだ宿題を解いている途中のようにも思いますが、明日のために生きなければ。残された僕たちがしっかりしなければ。
寒参詣が続いています。
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