先週末、妙深寺の寒参詣に於いて、韓国の姜ご住職に嫁いだ睦子奥さまにスピーチをいただきました。
妙深寺には強力なチカちゃんサポーターズがいてくれますから、出産のための里帰りも大歓迎。この日も、睦子奥さまの韓国でのご奉公や生活から学ばせていただこうと、たくさんのお参詣をいただきました。
そして、大感動。みんな、あまりに素晴らしいご奉公に、ただただ感激しました。特に、厳しいお折伏と受け止めて、韓国の方々や睦子さんのご奉公ぶりに学ばせていただこうと誓いました。
下記、その原稿をいただきましたので、全文掲載させていただきます。本当に、頑張ってくれていて、感激です(涙)。
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韓国で暮らしたこの数ヶ月は、あっという間だったようにも思う反面、もう何年も経っているのではないかと思う位、長かったようにも感じています。今回何からお話させて頂いたら良いか、色々な事がありすぎて迷ってしまいましたが、振り返ってみますと、「日本との違い」というものに毎日直面しながら、日々を過ごしてきたように思います。
韓国人と日本人は外見も似ていますし、国の様子も似ているのか、韓国に行っても海外旅行をしている感じがしないと良く聞く位ですが、実際に生活をしてみると、やっぱり色んな違いが見えてきました。
国の違いによる文化の違い、言葉の違い、食べ物の違い、気候の違い、習慣の違い。
そうした様々な違いが、楽しかったり驚きだったり、違和感を感じたり、時にはストレスにも感じたり。そういう事に忙しかったように思います。
そして、そうした国の違いの、ご信心への影響というものも、漠然とですが色々な形で感じてきました。
以前にお講席で、お寺の近隣宅に配るために、韓国仏立宗のパンフレットを作ろうという話が出た事がありました。私は妙深寺のパンフレットのようなものをイメージして楽しみにしていたのですが、どんなものを作るか話し合う中で、ご信者さん方が一番議論していたのが、「なぜナムミョウホウレンゲキョウと唱えるのか」という事を、どう説明するかという事でした。韓国も日本と同様、漢字のある国なので、お題目も韓国語読みすると全然違ってしまうんです。「ナムミョウポッビョンファギョン?」だったかな?だから、なぜ日本語読みなのか?なぜ日本の宗教をするのか?という風に、世間の人はまず疑問に思われるそうです。そこがまず、韓国仏立宗にとっては最初のハードルになるんですね。そして実際に、昔他寺院に居て退転された方で、韓国語でお題目を唱える方もいらっしゃいました。でもご利益を頂くどころか、生活にも本当に苦しんでいらっしゃったのですが、そんな状況でも、いくらお話しても韓国語でお題目を唱えることを止められなかったそうです。どうしても日本語だと思ってしまって抵抗があったのかも知れません。確かに、お経文の他の言葉は、日蓮聖人の読
み方でさえ韓国語読みするので、お題目だけ韓国語の読み方ではないというのは、不思議に感じるだろうと私も思ってしまいました。こうした日本には存在し得ないハードルがまずあるのだ、という事に、ここは異国、韓国なんだなぁと強く感じました。
また、日本と韓国では、世間の一般的な行事も色々と違っています。
例えば、韓国はキムチが食卓に欠かせない国だから、世間では白菜の美味しい12月くらいになると、キムジャンと言って家庭でキムチを漬ける日が年に一度あるんです。だから、お寺にもそのキムジャンという行事があって、その日に漬けたキムチは冷暗所で保管しながら大切にご供養として頂きます。また、韓国ではブッダの誕生日が休日で、その日は普段行かない人もお寺にお参りをします。だから私たちのお寺も蓮の花の飾りを付けて法要を行うのですが、この日はお正月の法要と同じくらい、一年で一番御参詣が多くなります。
逆に日本にあるお彼岸が韓国には無いので、春秋の総回向も韓国教区では行わないんですね。その代り、チュソクという旧暦のお盆に当る日に、韓国教区ではご回向の法要を行います。
ご回向と言えば、ちょっと困ってしまった事がありました。
韓国では旧暦が未だによく使われていて、特に昔の人は、ご命日や誕生日が旧暦なんです。お導師のご両親はもう亡くなられているので、私、今日命日にご回向をさせて頂きたいと思ったのですが、過去張に書いてあるご命日は旧暦のものなので、いつが今日命日かよく分からないんです。カレンダーで日にちを確認しておいても、その日の過去張には書いていないからつい忘れてしまったり…だから全然ご回向の言上が出来なくて困りました。聞くと、韓国の方は今日命日にお塔婆を建てるなどのご回向はあまりなさっていないそうで、祥月命日だけ年に一度ご回向の法要をする、という形を取っているようなんですね。
こういう風な小さな違いがたくさんあるので、直面する度に、ここは異国なんだから今までと比べたらストレスになるから比べちゃダメ!と自分に言い聞かせていました。柔軟な頭を持つことや、小さな事にこだわらない事の大切さを、学ばせていただいているのかも知れないです。
実際にこれからの事を考えると、韓国という国にしっかり根付いた、正しい仏教のお寺、宗派として弘めていく為にも、単純に日本流を当てはめようとするのではなく、韓国という国を良く知った上で、そこに住む人の生活に根付いたご奉公体制や行事を作り上げていくことが大切なのだと思います。もちろん、清い仏立宗の教えの筋は、絶対に曲げずに。
そう思うと、まだ韓国という国に慣れてもいない私が、何かさせて頂けるようになるのには、相当時間が掛かりそうですが、幸い今の私には、出産とか育児とか、目の前にやるべき事がたくさんありますので。それらにがんばって行く中で、少しずつ韓国という国、そこに暮らす人々への理解を深めて行けたら、きっといつか、私にさせて頂けることが見えてくる時が来るのでは無いかと、今は思っております。
それから、今の韓国仏立宗の現状も、少しお話させていただきたいと思います。と言っても、私はまだ言葉の問題などもあって、詳しいことまでは把握できていないのですが…。
現在のお寺はソウル近辺の鶴松寺と新清寺の二カ寺だけで、あとは地方にひとつ、新しく入信された方々の組があります。そのご奉公を姜御導師と清風寺から派遣された若いお教務さんのお二人だけでご奉公させて頂いております。ですから、寒参詣の今は毎朝御法門があるのですが、普段は朝の御法門はさせて頂けていないのが現状です。ましてや、新清寺はお教務さんが常駐していないので、朝参詣も日曜日に一度だけとなっています。
鶴松寺はご信者さんの数は多いけれどお年寄りの方が多く、新清寺は若くてご弘通意欲のあるご信者さんもいらっしゃいますが人数がとても少なく、婦人会や壮年会などの組織も、あるのかも知れませんが機能はしておりません。青年会、くんげ会も、少人数ながらつい先日発足したばかりで、まだまだこれからです。新しい動きを起こしてお寺を活発にして行きたいと思いながらも、まだまだお教務さんやご奉公者の人数が少なく、私も全然お役に立てていない為、昨年はやっと寺報というか韓国教区通信の発行を再開できたくらいで、本当に亀の歩み、中々進めさせて頂けないでおります。そんな歯がゆさに日々辛抱しながらも、お導きを頂いて少しずつ前に進んで行こうと、今は淡々と日々のご奉公を積み重ねさせて頂いている、というのが韓国教区の現状です。
でも、そうした中でも、特に新清寺のご信者さん方は、ご信心への有り難さを忘れず懈怠すること無く、お参詣やご奉公にお気張り下さっています。日本のお寺の整ったシステムやご奉公体制しか知らなかった私から見ると、それは本当に頭が下がることで、自分の信心の未熟さを改めて教えていただいております。
寒さや雪にも負けず、皆さん懈怠せずお寺参詣、お講参詣、お題目口唱にお気張りくださって、ご利益を頂かれていらっしゃいます。新清寺の局長さんは、11月頃にお嫁さんが出産されたのですが、4000g以上ある大きなお子さんだったのにスルっと産まれて大変安産だったそうです。また、ご主人が希望していたお仕事に採用されるというお計らいを頂いて、海外へ派遣される予定だったのですが、お嫁さんの出産が遅れて孫の顔が見れないかもと心配していたけれど、無事に派遣される前に産まれてきてくれた、との事でした。
それから、新清寺の若いご信者さんが、お教化の為に長時間の祈願口唱をされていながら、中々お教化できずに悩んでいたのですが、その当時あるご信者さんとケンカして異体同心のご奉公がさせて頂けずにいたことを、御法門聴聞して反省し、その方に謝って御懺悔させて頂いたら、その三日後にお教化が成就するご利益を頂かれた、という事もありました。本当に有り難いお話で、未熟な私は、妙深寺さんのような活発なお寺を羨んでしまってばかりいましたが、本当にそれじゃいけないのだと、どんな状況でも自分次第なのだと教えていただきました。
そうは言っても、今回お正月に日本へ帰ってきて、それから毎日、妙深寺の寒参詣に御参詣させて頂いていて、「すごい贅沢をしているなぁ」と感じております。
韓国と比べて、ここ妙深寺では、やっぱりとてもご信心がし易くて、ご信心中心の生活が送り易いんです。
よく、たくさんお看経の上がる家のご宝前は、お看経が上げやすいと聞きませんか?
それと同じなのかな?と思ったのですが、たくさん功徳を積んでいるお寺は、そのお寺の功徳でご信心がし易い、という事があるんじゃないかと。
だから妙深寺でご信心させて頂けるというのは、本当にすごく贅沢な事だと思います。
お寺に勢いがあって、ご弘通意欲の盛んなご信者さんがたくさんいらして、毎日大勢のお題目が上がっています。
毎日たくさん功徳を積んでいるお寺だから、お参詣すると、きっとその功徳でご利益を頂けるのだと思います。
実は、日本に帰ってくる前の検診で、お腹の子はさかごだったんです。なかなか直らなくて、御法様にお任せだ…と思いながらも心配していたのですが、日本に帰ってきて妙深寺にお参詣して検診に行ったら、直っちゃっていました。あんなに毎日心配していたのに、妙深寺に御参詣した途端にです。御導師も、妙深寺の功徳でさかごが直ったと大変喜んで下さり、安心して韓国にお帰り頂くことができました。その他にも妊娠のせいで顔がかぶれて赤くカサカサになっていたのですが、毎日御参詣を続けるうちに、今はこの通りほとんど治っています。
皆さんは、こんなに有り難い妙深寺でご信心が出来ていること、どのように感じていらっしゃいますか?
どうか、今の状況を当たり前と思わずに、これからもより一層ご信心に励んでください。でなきゃ勿体ないです。
韓国に嫁いでからまだ一年足らずですが、厳しいことや辛いことを学ばせて頂きながらも、周りの方々のお優しさに支えられて、私自身は本当に幸せに過ごして来ることが出来ました。毎日自分の未熟さや懈怠との戦いで、正直負けてしまう日々もありましたが、それでも御法様のお慈悲を頂いて、全部計ったかのように、お導きを頂いて参りました。
妊娠のタイミングも、風邪を引いたタイミングでさえも、後になってお計らいだったと分かった事もありました。
家族のように接して下さる温かいご信者さん方がいて、愛する人との子供を授かって、私自身のことは、こう言うのはちょっと恥ずかしいですが、幸せすぎて怖いくらい、有り難いこと尽くしです。
だからこそ、そのご恩返しができるように、今私がすべき事を懈怠なく励んで力を付けて、これから精一杯ご奉公させて頂けるようになりたいと思っています。
皆様、これからもどうか、韓国教区の応援を、よろしくお願い致します。
来年秋には、韓国仏立宗100周年の記念法要がありますので、是非お参詣いただけたら有り難いです。
大変長くなってしまって、すみませんでした。
ご清聴、ありがとうございました。