2011年5月27日金曜日

メルトダウンした国

原発事故発生数日後、メルトダウンを確信した。ブログにも夢であって欲しい、祈るほかない、と書いた。

友人たちから続々と情報を得た。いま思えば、どんな報道よりも正確だった。外資系企業に勤める方から「米国本社より関西以西に転居せよと厳命を受けているが、ご住職どうしたらいいの?」という問い合わせもあった。

手探りの中、苦渋の御題目口唱、ご祈願、支援活動が続いた。

振り返れば、メルトダウンが続いた震災発生から1週間後に、私たちは原発から35キロ地点に行った。測定器が鳴り続けた。隣にいた清康と戦慄した。

今、ようやく情報が開示されつつある。つまり、危機管理の担当者たちはチェルノブイリから何も学んでいなかったということだ。むしろ、チェルノブイリよりも避難指示などは遅れたのではないか。

内容は知らされなくとも、「とにかく命令に従って退避しろ」と言い、それが生命を守るためであればいいではないか。子どもが納得するまで道路に放っておく親はいない。

「闇が深い」と書いてきたのは、日本の統治機構は複雑で、まさに「権実雑乱」の様相を呈しているからである。現行政府の息のかかった省庁幹部や経済団体は少ない。

欧米と異なり、本格的政権交代がはじめて実現した日本。今なお見えない権力闘争が政党内や政治家だけではなく、官僚組織、省庁幹部、巨大な経済団体や大手新聞社、それらの申し子たちを巻き込んで、行われている。

戦後数十年、これらの利権に育てられてきた者たちの執念は凄まじい。一人ひとりは極めて人道的な人格者であっても、権力を奪われた者たちは容易には動かない。

つまり、その闇とは、国民不在の権力闘争による情報の隠蔽や操作が、政府と国民の間にあるのではなく、この国の隅々に存在しているということなのだ。

政府と省庁、政府と巨大企業をはじめ、その風通しの悪さは政府の無能ぶりではなく背後の権力闘争の凄まじさを透けて見せている。

そんなものに巻き込まれて国民の生命や財産が失われているとしたなら、これほど罪深いことはない。特に、緊急を要する原発事故の対応においては致命的だ。

権力闘争の果てに、震災発生当時すでに政治的な孤立状態のように見えていた菅政権に対して、関係機関がどれほど積極的に情報を出していたか、まず疑問に思う。正確な情報が届かなければ、判断がつかない。危機は、民主的国家が専横的国家に劣るという事実を突きつけるのだろうか。

専横的な国家を望んでいるのではない。チェルノブイリ以上に対処が遅れたとするなら、それは日本の民主主義の未熟さの故ではないか。欧米では、政権交代後に人事の刷新を含めた徹底的な統治機構の再構築が行われる。日本では楽観的な理想主義によってそうはいかない。結果として、戦後の長期政権やその勢力は、今なを結束も固く、復権のために万策を弄している。

溶融しているのは日本の政治そのものかもしれない。ニセモノとホンモノの見分けがつかない「権実雑乱」の時代では、真実も闇の中にまぎれ、戦う相手すら見失ってしまう。

誰かに任せているのではなく、今こそ一人ひとりが動き出すべきだと思う。そうでなければ、災禍は繰り返されるし、何も変わらない。

日本を、メルトダウンさせるわけにはいかない。

【速報】「メルトダウン、震災から数日後には確信」米原子力規制委員会/The Wall Street News (日本語) wp.me/p1w9XH-fG

時事◆数日後には損傷深刻と判断=福島原発事故で米NRC幹部 goo.gl/xHTGi 「この判断が、米政府による避難勧告が半径50マイル(約80キロ)圏内と、日本政府の避難指示よりも広範囲となった理由の一つだと述べた」
Janetter 11/05/27 8:11

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