2016年8月19日金曜日

上流に向かって歩き出す

寝ている時間も、ずっと考えています。

どのような角度からお話をしたら、ご信心の有難さが伝わるだろう。

こんなに近くにあるのに、つかめずにいること。

心の内側にあるのに、使っていない「信じる」という心の働き、その力。

嘘をつかれて傷ついて。

隠し事にがっかりして。

だまされたとか、うらまれたとか。

「信じる者は救われる」というよりも「正直者が馬鹿を見る」という空気が、自分の心のどこかにも染みついてしまっている。

いつしか「信じる」がうまく使えなくなっていた。

赤ちゃんのようにー。

たくさんのグチャグチャを経験しても、赤ちゃんのように透き通っていられる。

信じる心を保ち、信じる力を大切にし、信じることで得られる尊い果実をたくさん味わって。

こんな話こそ信じられないと思うかもしれないけれど、90才を過ぎても、こういう心境、こういう生き方で、幸せに毎日を過ごしているおじいちゃんやおばあちゃんがお寺にはたくさんいます。

どんな理屈を並べるよりも、私たちのお手本です。

答えです。

ずっと好奇心を持っていて、ずっと感謝して、笑って、励ましてくれる。

心の師とはなるとも、心を師とせざれ。

心を師匠にしてはいけない。

心の師匠になりなさい。

振り回されてはいけない。

かといって、コントロールしようとしても無理だ。

だから、信であり、口唱。

「信とは行なり。行とは口唱なり。」

とにかく、いつも、どうしたら、一人でも多くの方に、み仏の教え、仏教のアイデアをお伝えできるだろうかと、考えています。

たくさんの時間をかけて、たくさんの言葉を尽くして伝えても、水に浮かぶ泡のように、空しく消えることもあります。

それでも、あきらめずに伝えること。

今生では無理なこともありますが、あとは来世で続きから。

謗法と罪障について、定業、不定業について、軽く考えるわけにはいきません。

川の流れも、下流の大河ともなれば、簡単には変えられない。

無力さを痛感した後、また上流に向かって歩き出すしかありません。

今日は、北陸新幹線を、佐久平の駅で降ります。

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