2007年7月8日日曜日

福岡清耀師とMさん、

 今年の2月、スリランカへのご奉公で福岡御導師の甥御さんでもある福岡清耀師が随行されていた。

 この時のご奉公は、世界遺産にも登録されているアヌラダープラ(Anuradhapura)のアヤバギリ・ダゴバ(Abhayagiri Dagoba)の前で行った口唱会(このセッションは全スリランカにテレビ放送された)と、スリランカ大統領との接見だった。非常に重要な機会であり、大変に有難かった。

 その際、随行していた清耀師とはじめてお会いした。背が高く、社会で仕事をしていた時期もあるとのことで、非常に好感を持った。御導師の甥御さんでもあるから将来への期待もある。是非とも良い教務になってもらいたいと思い、「一度、横浜に来て、他寺院のご奉公を勉強したらどうだろう」と話をした。

 帰国後、彼は本当に横浜に修行に来てくれた。ほんの僅かな期間だったが、妙深寺でのご奉公を通じて、みんなが真心から菩薩行に挺身している姿を見て、また何かを感じてくれたと思う。その後、清耀師は佛立教育専門学校(京都本山とそこに隣接する佛立教務の学校。現在は福岡日雙上人が学校長を務めておられる)に入学した。

 しかし、目覚めたる者というのは素晴らしいもので、京都での修行中でも彼はお教化のご奉公をされていた。清耀師のお寺は神戸。その神戸の正法寺でご葬儀があった。その際、そのご葬儀にお参詣されていた横浜在住のMさんとご信心のお話をした。時間が経ってもメールのやりとりをしながら、ご回向の大切さや今の生活の中で御題目をお唱えすることの大切さ、ご信心を心の中に立てるということなど、様々なことを話してくれていたという。

 私は、そのことを清耀師からお聞きして、清耀師のそのご奉公姿勢に感激した。長松寺の開導会の前日、準備ご奉公の後に清耀師から「いよいよ月末、妙深寺の補講にお連れする」と。そして、1週間後の23日の夜、補講の後でMさんとはじめてお会いし、お話をお聞きした。

 さまざまなことをお聞きし、私もお話をしたが、時を置かずにMさんはお参詣をはじめられた。まず、自分で決めて、自分なりにお寺にお参詣させていただきたいということだった。補講の後のバーで、同じ世代の人たちと親しくなったようで、すでに朝参詣でもお互いに励まし合っていたようだ。

 6月30日、ご信心をさせていただきたいという申し出があり、1週間の開門朝参詣の後でもあるので、月始総講で御宝前に言上させていただこうと思っていたのだが、7月1日の6:30、本堂正面玄関の前で偶然彼女に出会った。

 彼女は寂しそうな顔をしていた。お声をお掛けして、どうしてもお話を聞きたいと思い、この僅かな間に彼女に何が起こったか聞いた。少しの心の行き違いだと思うのだが、ご主人にご信心をすることを反対されたとのこと。非常に残念だったが、ご信心に付こうとしたその前後に怨嫉が出ることは御指南、御法門で教えいただくとおり。

 彼女は泣きながら話をしてくださった。涙を眼にいっぱい浮かべて。私から少し思うところをお伝えして、「とにかく、御法さまに全てを御題目に乗せてご相談しよう。お看経が終わって、またお話ししましょう」とお話をした。

 私が不思議に思ったのは、チカちゃんのメール。Mさんがご主人とその話をしていたのは21時頃のことだというが、お話が決裂して「ご信心が出来ない」と思った時、21:20にメールが入ったという。チカはそんな事情は何も知らなかったのだから、まさに同時同刻の現証と言えるではないか。

 その時のメール。
「菩薩行をさせて頂こうとすると怨嫉(おんしつ)がでてきてしまいます。それは菩薩行をさせて頂く妨げになるもので、苦労や困難、自分自身の罪障だったりします。そこを負けずに、「私は菩薩行をさせて頂くんだ」という思いを先に持ち乗り越えることで、菩薩行を成就でき、更に罪障を乗り越える事が出来るのです。もしこの先、困難に出会うことがあった時、罪障消滅と思うことを乗り越える助けとして、前向きに励んで下さったら有難いです。」



 こんなメールが出せるのは、菩薩行を常に心懸けているチカだからこそだと思う。本物だと思った。有難い。

 お看経終了後、Mさんと応接室でお話ししたところ、「ご信心させていただきます。主人もきっと分かってくれる」と。そして、晴れて月始総講で入信の言上となった。御法門中、若い方々が最前列で聴聞してくださっていたが、その列の中にMさんもおられた。涙を流されて御法門聴聞されている姿が眼に焼き付いた。

 その後、ずっと彼女は朝参詣を続けておられる。しかも、自分の身近におられるご病気の方の御祈願をされ、病室にお供水を運ばれ、大菩薩心を起こして助けてあげたい、支えてあげたい、と思っておられる。私は、その彼女の心を、心から有難く思う。そうした彼女を御法さまが見逃されるはずはない。必ず御力をお貸し下さる。

 清耀師のご奉公、その後のメールでのやりとり。全てが重なりあって、Mさんのような素晴らしい方が御法さまとご縁を結ばれた。本当に有難いと思う。そういう方々が、朝参詣でも語り合い、支え合い、大きな、力強い流れを生み出している。今朝も凄かったなぁ。

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