2014年9月1日月曜日

『コーヒーの壺』 妙深寺報 平成26年9月号

昭和30年7月7日午前0時20分、天の川の輝く夜空に、梶本日颯上人と清水日博上人がブラジルへ向けて飛び立ちました。当地で約3ヶ月間ご奉公なさいました。以来、59年が経過しました。

日博上人はこのご奉公の詳細を『コーヒーの壺』と題した冊子にまとめて出版されました。題名はブラジルの各地で講演した演題によるものです。

今月、木村宗務総長をはじめ、佛立青年教務会の約40師がブラジルに渡り、ご奉公くださいます。妙深寺からも清水清康師、兼子清顕師、野崎清翔師、橋本恒潤師の4師が参加させていただきます。

千載一遇の機会をいただきました。教務のご奉公が手薄となりますが、日博上人の直孫である清康師をはじめ、彼らにはブラジルからありったけの情熱、行動力と忍耐力、純粋無垢なご信心を学び取って、帰ってきてもらいたいと思います。

過酷なスケジュールでしたが、スリランカ別院の青年たちは見事にご奉公を円成して帰国しました。さすが、24時間口唱会をして来日したメンバーです。この日本団参を糧に、スリランカの未来のご弘通を担ってくれると確信しています。

つくづく、本当のご弘通はこれからです。国内も、海外もなく、本物の仏教、上行所伝の御題目にお出値い出来た喜びを分かち合い、現証の御利益を語り合い、お互いにご弘通の情熱を灯し合い、競い合うようにご信心、ご奉公に励む時です。

世界は様々な問題を抱え、それらが短期間に巨大化し、一触即発の様相を呈しています。やはり、今こそ国内外を問わず、佛立信心を説き伝える時です。そうしないと間に合いませんし、自分の周りのことだけでは幸せは来ません。安全も保てません。

この世界は宗教で動いています。宗教が分かれば世界が分かります。逆に言えば宗教を外している間は、世界のことも、国内も、世の中も人間も、分かるはずがないのです。

東日本大震災以降、日本社会は変わりました。ほんの十数年前は友人同士で政治や宗教の話を持ち出すと「無粋な奴」「変わった奴だ」「面倒な人だ」と思われるような風潮があったように思います。

しかし、今はどうでしょうか?

相変わらずそんな風に思っている人がいたら、その人の方がおかしいです。あまりにも愚かで軽薄な人だと思われてしまいます。

東日本大震災は私たちに社会や人間の在り方を教えてくれました。原発事故によって自然と人間との関係、地方と都市の関係、エネルギーや安全保障のことについても教えてくれたのです。

答えは出ていなくても、政治や宗教について自然な疑問や関心を持ち、それらを語り合う時代に来ています。

そのような時代の中で、「では、佛立信者であるあなたは、何を語れますか?」ということが問われていると思います。教えに照らして、自分自身のご信心に照らして、正々堂々と政治や宗教や信仰について語るべきです。

日博上人は『コーヒーの壺』の中に記しています。

「皆さん!
南無妙法蓮華経とは、単なる仏でもなければ神でもない。実に『法』なのであります。神・仏の親である法面人裏の人法一箇の本尊であります。故にこの法には、捨てるという云う仏はなく菩薩もない。全宇宙の仏菩薩・諸天善神、一切が漏れることなく体内に納められた完全妙法の本法なのであります。

今日の信仰は、そして明日の宗教は、このような一切の宗教界を統一し、神も仏もことごとく体内に含んで統一しているところの根本法、三大秘法総在の一大秘法、百億の太陽ある三千大世界究極の法  ー  この法を本尊としてて信仰しなければならないという時代であります。

日蓮聖人は『末法の始に謗法の法師(根本法に背く宗教家)一閻浮提(全宇宙)に充満して、諸天いかりをなし、乃至諸佛、諸菩薩、諸大善神等の御力の及せ給ざらん時、諸人皆死して無間地獄に堕ること雨のごとくしげからん時、此の五字の大曼荼羅を身に帯し心に存せば、諸王は国を扶け万民は難をのがれん。乃至後生の大火炎を脱るべしと佛記しをかせ給ひぬ。』と。

皆さん!昨日の信仰より進んで、今日の信仰、明日の信仰である本門八品所顕上行菩薩所伝本因下種の南無妙法蓮華経の信仰人となりましょう。

ブラジルコーヒーを納めたコーヒーの壺が、全世界の人に喜ばれ大事にされるように、天地に護られ仏菩薩・ゴッドに悦ばれるコーヒーの壺の如き人となろうではありませんか!」

ブラジルのコレイア御導師は、京都佛立ミュージアム「ブラジルと仏教展」のインタビューに泣きながらお話くださいました(抜粋)。

「最も大事なのは、みんなが、茨木日水上人を、心から御師匠としていただくこと。日水上人につながってはじめて、先師上人、日扇聖人、お祖師さま等につながってゆくということ。

教務さんたちには、人に言われてご奉公するんじゃなしに、御講屋さん、お助行屋さんじゃなしに、自分から望んで、弘通家になっていただくのが、本当の目標なんです。そうでないと醍醐味を味わうことが出来ない。

我々は今まで収穫ばかりしてきた。恩恵ばかりいただいてきて、我々の時代は種まきをしまくらなければとても死ねません。種まきの出来る教務さんが、ご信者さんが育たなければ、後がありません。

装うな、責任は自分が引き受けろ、正しい間違いは関係ない、お看経しなさい、ご信者さんを助けなさい、自力は使うな、頭を使うな、ご弘通は、させていただけよ、と、そういう理念が一番基本だと思います。

私もそうだったんです、踏まれる方がいいんです、慈悲が伝わって。自分の在り方、持っている心、そのまま伝えたい。苦しいことなんて無い。みんなもっと苦しかった。苦しめば苦しむほど一緒だという一体感が出来ていきます。いざという時にはご宝前が助けてくださる。そしたら、もっともっとご奉公ができていきます。」

ご信心は、涙が溢れるほどの、素直さと情熱がなければ駄目です。教務だけでなく、頬が落ちるほど美味しいご信心の醍醐味を味わっていただきたい。素直さと情熱を持ってご宝前に向かい、ご奉公に取り組めば、必ず、味わえます。

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