2015年8月16日日曜日

様々な「談話」の中で

小沢一郎氏の談話。

明治維新から、日清、日露戦争、その背景にあった藩閥政治、自由民権運動の挫折、陸軍の超巨大化、山県の影響力、政党政治の未熟さと無力化、青年将校の蜂起、一夕会の同床異夢、永田鉄山の暗殺、エリートたちの誤算、誤算と暴走。

小沢氏は「財閥富を誇れども 社稷(しゃしょく)を思う心なし」という『昭和維新の歌』を引用しており、歴史を正視すべきことを訴えている。

この引用から、明治維新の勝ち組とは異なる政治家であること、東北出身であることに気づく。反対に、勝ち組の中、山鹿素行の「兵学」を基礎に据えて国を憂える長州閥には政治家にも系譜がある。思想の根底にある『中朝事実』。「美しい日本」というフレーズが『中朝事実』の前文に寄るなら、恐ろしいことに違いない。

いずれにしても、小沢一郎氏の談話を読んでいて、頷いた。日本近代史を、本当に深く掘り下げて検証しなければならないと思う。

東京裁判は勝者による一方的な裁判で無効だという人がいるけれど、勝者が敗者を裁くのに矛盾があることなど当然のことで議論の余地もない。歴史を知らな過ぎる。人間を知らな過ぎる。戦争は常にある意味で「勝てば官軍、負ければ賊軍」であり、明治新政府が行った江藤新平の裁判など東京裁判の比ではないほど一方的な「裁判」だったのだから。そうしたことは繰り返されてきて、先の大戦があり、敗戦があった。

政治家の方々が発した様々な戦後70年の談話の中で、その内容に共感したのは、この方のものでした。

--------
生活の党と山本太郎となかまたち
代表 小沢一郎
http://lite.blogos.com/article/128288/

戦後70年という節目を迎えるにあたり、先の大戦において犠牲となられた内外のすべての人々に対し、謹んで哀悼の誠を捧げます。

戦後70年を迎えた今も、日本は政治、経済、社会のあらゆる面において、まだ戦後を脱し切れていません。これは「戦後」の前提となる「戦前」、特に昭和史についての検証と認識が全くなされないまま今日に至っているからだと思います。

私たちは戦前の歴史的事実を冷静に見つめ、謝るべきは謝り、正すべきは正すべきだと思います。その上で、将来に向けてアジアの国々がお互いに力を合わせてやっていこうと呼びかけていくべきです。歴史ときちんと正面から向き合おうとしないから、世界各国、特に隣国の中国や韓国から歴史問題を常に蒸し返されることになるのです。

私は愛国者の一人だと自認していますが、軍事裁判という形を取って懲罰を科す手法がよいかどうかは別として、日本の戦争指導者たちがアジアの隣人に大変な苦痛と被害を与え、また自国民の多くの命と多大な財産を失わせたのは紛れもない事実です。連合国側に裁かれるまでもなく、あんなばかげた戦争を指導した当時の政治家や軍人たちは、自ら責任を取るのが当たり前です。

指導者たる者は、指揮を誤った時には自ら潔く責任を取らなければいけません。日本は8月15日を終戦記念日と言い続けてきましたが、事実は敗戦記念日です。誰も責任を取らないまやかしのナショナリズムではなく、70年前の「敗戦」をしっかりと受け止めて戦後をスタートさせ、新しい国づくりをしていかないと、日本はまた同じ過ちを繰り返すことになります。

日本は戦後、アメリカ占領軍の下で形の上での民主主義が導入されました。そして、アメリカから与えられるままに、全てを惰性で曖昧なままにして70年間を過ごしてきました。

国民一人ひとりが第二次世界大戦を自分の問題として捉えず、自らの意思で戦前の日本に向き合い、検証し、考え、そして民主主義とは何かという結論を導き出す作業を怠ってきたのです。

その結果、戦後70年を迎えても、日本は依然として民主主義を本当に理解している国になれないでいます。

昭和の初めには大飢饉があり、農村では身売りしなくては家族が生活できないという現象が日本のあちこちで見られました。また、貧しい農村の人たちは徴兵制で兵役に就きました。

そうした世の中で、「財閥富を誇れども 社稷(しゃしょく)を思う心なし♪」と『昭和維新の歌』で唄われたように、「日本の世の中はおかしい。誰も国のことを考えていない」と青年将校が決起して5.15事件や2.26事件という軍事的クーデターが起きたのです。

更に日本の経済的困窮に拍車をかけたのが、1929年のウォール街の株価大暴落に始まった世界恐慌でした。結局、これに日本は対処できず、軍事的な拡大で戦争景気をあおるしか方法がなく、最終的により大きな悲劇へと突入していきました。

私は5.15事件や2.26事件を政治的に肯定するつもりは全くありませんが、今の社会構造は当時と非常に似てきていると思います。現在はまだ非正規社員でも何とか食べていけますが、ひとたび世界規模の経済恐慌に襲われたら、国民は相当混乱に陥るはずです。

そういう時でも、日本人が自立していて、日本に本当の民主主義がきちんと根付いていれば、皆で知恵を出して合って、何とか困難な状況を解決していく方策を思いつくでしょう。しかし、民主主義の土壌がなければ、5.15事件や2.26事件の時のように、「今の政党政治はだめだ」「民主主義は無力だ」ということで、国民が極端な行動に走ることもあるかもしれません。私は戦後70年の節目の今年こそ、国民一人ひとりが本当に民主主義を身につけるべき年ではないかと思っています。

そして、日本に議会制民主主義を定着させ、国民が一人ひとり自分の頭で考え、投票し、自分たちの政権をつくる。

自分たちが選んだ政権がおかしいとなれば、もう一方の政権を選び直す。そういう仕組みを確立する中で、政党も国民もお互いに力を合わせていけば、今後どんなことが起きようとも、日本はそれを乗り越えていくことができると思います。

私は特に最近、一日も早くそういう日本にしなければ危ないと強い危機感を抱いています。戦後70年を機に日本に本当の民主主義を根付かせ、アジアの範となるような国になることに、国民の皆さまと一緒に全力で取り組んで参りたいと思います。

以上

0 件のコメント:

スマトラ島沖地震から20年

20年前の2004年12月26日、スマトラ島沖で巨大地震が発生し、津波が近隣諸国を襲った。 震源の真西にあたるスリランカには時速約700キロで超巨大津波が到達し恐るべき被害をもたらした。3万5322人が亡くなり、1万6637人が負傷、行方不明者は5637人、83万人以上が家を失っ...