「清水~、港のぉー、名物はー」と口ずさんでしまいそうになりますが、清水でのご奉公では、いつも、その風景の美しさに息を飲みます。清水港から見る対岸の伊豆半島。穏やかな駿河湾をはさんで見える伊豆半島の稜線、その美しさ。海の上の空の色も、まるでモネが描く水彩画のよう。「日傘の女」の背景の空とまではいかないが、綺麗な色のコントラストがあって、心が穏やかになります。
写真には、ちょっとコンビナートが入っています。ホテルの窓から撮っただけだから、仕方ないですね。
陸の方に目を転じると、山と雲の向こうに白い雪の降り積もった富士山の山頂が見えました。本当に、綺麗。
昔、私にとって大好きだった河口湖に住む「おやっさん」と一緒に、何度も何度も見た富士山。残念ながら、おやっさんは三年前の8月23日に亡くなってしまいました。海外で亡くなったので、私は成田空港までおやっさんを迎えに行きました。成田空港の、特別な施設で、変わり果てた姿になったおやっさんをお迎えしました。いつもやさしく、住職就任式にも来てくださり、お祝いをしてくださっていました。
河口湖から見る富士山は、言葉に言い尽くせないほど綺麗です。見たことがある方は、分かっていただけると思います。地球が、この国を選んで富士山をプレゼントしてくれたような気持ちになります。
しかし、こうして海から見る富士山も、綺麗です。つまり、どこから見ても、さまざまな顔を見せてくれて、私たちを魅了してくれる。人間も、また富士山のように、どこから見ても素晴らしさが分かるようになれという目標を教えてくれているように思います。
人間を見る時、「良い人」か「悪い人」かと二元的に見るのではなく、高校野球のチームを「攻撃力」や「守備力」「チームワーク」と、5角形くらいをつくって見据えるように、人間もまたいろいろな良い面と悪い面を多角的にみるようにと教えていただきます。10ある内、9良くても1の悪さがイヤになることもあれば、10ある内、9悪くても1の良さを信じて伸ばしたいと思うような。
出来れば、私たちの仏教、「円教」ではありませんが、イビツな形を円に近づけて、富士山のような威風堂々たる人間性を身につけられたらと思います。
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