気にかかるので、書いておきます。
選挙直後のイラクが、ほぼ内戦という、恐ろしい状況になっています。
もう、モスルも、バイジも、故サダムの故郷・ティクリートも、スンニ派の軍事勢力が侵攻して、掌握したとのこと。
油田地帯のキルクーク州まで彼らの手に落ちたというから、すでに内戦は始まっています。
事実、彼らはバグダッドへの侵攻を表明しています。
ほんとうに、こういう結果しか、ないのでしょうか。
イラク戦争の結果の、無法地帯、無惨なこの状態。
宗派の対立。殺し合い。恐るべき悪循環。
スンニ派も、シーア派も、宗教指導者は、どう言っているのだろう。
NHKのドキュメンタリーWAVEの番組、もう終わってしまったけれど、録画しました。
「イラク 終わりなき戦争 ~ある家族 10年の記録~」
インターネットには下記のような説明があります。
「2003年3月に米英軍が始めたイラク戦争は10万人以上のイラク人が犠牲となるが、いまだイラクに平穏な日々は訪れていない。
バグダッドで暮らすアリ・サクバンさんは、そうした状況のなかでも、ただひたすら平穏に生きたいと武装勢力とは距離をおき、高額の報酬を期待できる武装民兵の仕事も拒否。
一家を支えるため、ささやかに野菜屋を営むなどして、地道に生計をたてていた。
しかし、アリは米軍による空襲や宗派間抗争などによって次々と家族を失い、やがて不運は彼自身をも襲う。
番組では、10年にわたりこの家族を記録してきた映像をもとに、国際情勢の中で翻弄されてきたイラクの道のりをたどり、終わらない戦争の実像を浮かび上がらせる。」
ずっと主人公で登場していたアリ・サクバンさん。
小さな、溺愛していた愛娘3人を、「パパ、おはよう」の挨拶のキスの後、米軍の空爆で失いました。
たった一人、生き残った娘さんを守ろうと、学校の送り迎え、宿題の手伝い、寝顔を見守る姿。
そして、米軍のプレゼンスが弱り、宗派対立が激しくなり、信頼していた弟さんが射殺されて、その後、あっけなく、アリ・サクバンさんも殺されてしまいます。
残された娘さん。ご家族。年老いたご両親。
戦争前は、9人で幸せに生活していたのに、老夫婦しかいなくなった部屋が、番組の最後に寂しく映し出されていました。
ボタンの掛け違いが、どのくらい、あとで恐ろしい災禍をもたらすか。
自分の子どもを3人殺されても、テロリストにならず、平和を求めたアリさん。
家族を殺されて、過激な思想に身を投じていく人たち。
本当に、泥沼です。
まだまだ、遠く、点と点でしかないけれど、火の粉は世界中に広がってゆくと思われます。
平和を希求する。
来年は終戦から70年なのに、この言葉を虚しくしてはならないと思います。
道筋、道のりを、示さなければなりません。
今回の「ブラジルと仏教展」で、テーマがブレる可能性もあるので、展示を悩んだのですが、展示したお手紙があります。
梶本日颯上人と、茨木日水上人のやりとり。
「平和国家で押し切ることが真の武士道」という信念。
この言葉は、重いです。
戦後のGHQによる教育も、新聞の何とかも、関係ない、ブラジルに移民した人の言葉。
ブラジルは連合国軍側で、戦争が始まると日本とブラジルは国交断絶、日系移民は敵性国民、資産没収。
日本語で話しているだけで逮捕・投獄されたといいます。
そんな中、「日本が負けるわけなどない」と信じて、耐えた日系移民たち。
敗戦後、実に、昭和30年まで、約10年間も、殺し合いまでした日本人同士は、勝ち組・負け組の問題を引きずりました。
その日系移民のルーツに当たる第1回笠戸丸移民の茨木日水上人、ブラジル仏教の祖が、書いている文章。
国家とは何か。
平和とは何か。
日本はどんな国であるべきか。
これは意味のある、重たい言葉だと思います。
イラクの現状、イラクのドキュメンタリー番組を見て、もっと真剣にこのことを考えなければならないと思います。
今日の午後、統合失調症の女の子と、ゆっくりとお話をし、ゆっくりとお看経をすることが出来ました。
彼女の心、彼女が、今日書いてきてくれたお手紙、まごころから、時間をかけて、丁寧に書いてくれたもので、御法さまに静かに言上させていただきました。
とにかく、お看経が、ありがたかった。
写真は2003年、エルサレムの丘から死海を臨んで撮ったものです。
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