2023年6月17日土曜日

吏絵ちゃんと初めて会った日








金曜日、吏絵ちゃんが、第二子を連れて、無事出産のご挨拶に来てくださいました。心の奥底から、感激でした(涙)。こんなに嬉しいことはありません。


2007716日、月曜日。今から16年前。


Seijun’s Blogの記事。「2年越しで恋人に出会えた」は、第一回の青少年の一座で吏絵ちゃんと初めて会った時のことを書いています。


下記文章、久しぶりに載せてみます。


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 涙、涙だった。


 週末、ブログの更新もメールのチェックも出来なかった。パソコンを触ることもなかった。慌ただしい、寝る間もないご奉公だった。疲れ果てているが、心地よい疲れだ。


 本山宥清寺に於いて、佛立開導日扇聖人の祥月ご命日に併せて、その第四座に『青少年の一座 ~人間 生きる、生かされる命~』が遂に奉修された。素晴らしいご奉公、有難いご奉公だった。それは別のページで書きたいと思う。


 奉修前日、土曜日の午後に京都に入り、準備ご奉公をさせていただいたのだが、その時に、その時に、その時に、な、な、なんと、私としては嬉しい嬉しい出会いがあったから。


 その理由。それは、吏絵ちゃんに会えたからだった。


 今回の本山開導会、青少年の一座にはテーマがあった。既に書いたが、『~人間 生きる、生かされる命~』だ。いま、若い人たちは、いじめや自殺などの社会問題に取り巻かれて生きている。自分では聞きたくなくても、そうしたニュースを耳にせざるを得ないし、自分の身の回りでも多かれ少なかれ様々な家庭の問題や人間関係での問題、苦しみや悩みを抱えた人の話を耳にしているはず。そういう時代に生きている本門佛立宗のご信者が、何を感じ、何を学び、どう行動し、どのように生きていくべきか。それをみんなで考える絶好の機会にしたいと会議が重ねられてきた。


 それは「学ぶ」ではなくて「共感」でなければならないと思ったし、「共感」から実際の行動に移せるような機会でなければならないと考えて、青少年の一座は形づくられてきた。開導会第四座という法要と、法要後にはシンポジウムを行った。その両方で、吏絵ちゃんのご家族からお話をしていただいたのだった。


 吏絵ちゃんは14才。2年前に白血病を発病した。それまでは大きな病気もせず(幼児期にぜんそくではあったが)、学校は皆勤というほど健康で、ソフトテニス部に入り大会で素晴らしい成績を残すくらい活発な、ごく普通の女の子だった。


 テニスの日焼けで真っ黒になっていたという2年前の7月。身体がだるいと言って、少し熱があり、風邪かと思っていたのだが、病院に行ってみて血液検査をすると(この段階でももっと濃い内容があるのだが)数値がおかしい。大きな病院で白血病と診断されたという。


 私は小学校の先生をされているお父さまのお話でボロボロに泣いてしまった。まず、お父さんはシンポジウムで「いま、みなさんにとって一番大切な人のことを考えてくれますか」と仰った。すぐに私の頭の中に自分の子どもが浮かんだ。続けて、「その自分にとって一番大切な人が、大変な病気です、と言われたら、みなさんならどう思われますか。私にとって、吏絵は、一番大切な人だったんです」と仰った。その瞬間、私は司会台の後ろで嗚咽した。そうだ、そのくらいの苦しみを、このご家族は抱えられたのだと、あらためて感じた。


 白血病と診断され、「いいですか、白血病という病気は、治療しなければ100%死ぬ病です」と言われ、「なんてことを言うんだ」と涙した、と。そして、治療承諾のサインをする途中、涙が出て止まらなくなり、途中で書けなくなった。妻にペンを支えてもらって、やっとのことで書けたのです、と仰った。


 絶望の中、お父さまは奥さまの実家から本門佛立宗のご信心、お寺にお参詣してみないかとお話をいただいた。そこで「もう、祈るしかない」と思って、お参詣、ご信心をされるようになったのだという。お助行がはじまり、本山の、吏絵ちゃんのことを知らない人までが祈ってくださる姿を見て、お看経中に泣けて泣けて仕方がなかった、と。


 ちょうどその頃、長松寺の御総講で同じ連合の神田さんからお助行のお話をお聞きした。学生師としてご奉公していた清康師は、そのお助行にも参加しており、その場のお話に随喜して、みんなで御祈願をさせていただこう、お助行させていただこう、というお話になったのだ。


 横浜で吏絵ちゃんへの御祈願がはじまった。毎朝、吏絵ちゃんの言上をあげさせていただくようになった。ロスに出張だったひろし君にもメールで早速このことを伝えた。ホテルの部屋で御題目をお唱えする時、吏絵ちゃんの御祈願もしてもらいたい、と。ひろし君はそのメールを見て、ホテルの部屋で一人で泣いたという。そして、返信をもらった。「絶対にさせていただきたい、させていただきます」と。


 スリランカの皆さん、特にイタリアではマッシーや麻樹ちゃん、ダニエレ良誓師やティッツィアーノさん、ミルトやエンリーカ、ベルリンの行弘くん、ロンドンのヴァネッサ、ブラジルでも多くの方々にご披露すると、みんなが吏絵ちゃんの御祈願をしてくれるようになった。世界中が吏絵ちゃんで結ばれたように思えた。


 お父さんから聞くと、吏絵ちゃんは小学生の頃は自分の病気の大変さを、感じてはいても本当のところ分かっていなかったという。しかし、多感な時期を迎え、ごく最近になって亡くなった本田美奈子さんやカンニングの方と同じ病気だということを知って、いろいろなことを考えているのだと思うと教えていただいた。


 吏絵ちゃんは辛い治療を乗り越えた。病気の治療が成功したことはもちろん、治療中に熱が出たり、感染症にならないで、すべてが順調にいったことなど、たくさんの現証の御利益を感得されたという。6月末で、全ての治療が終わって、もう入院して治療することは無いというところまで来たのだという。本当に、吏絵ちゃんのご家族の愛情、ご信心と、世界中の方々の御祈願のおかげではないだろうか。有難い。


 私は、約2年間、吏絵ちゃんの御祈願をさせていただいてきた。しかし、私は会ったことがなかったのだ。ご家族であるお祖父さまとはいつもお会いしていたが、辛い治療をしていることもあって、なかなか吏絵ちゃんにお会いするチャンスはなかった。


 しかし、その吏絵ちゃんのご家族に、この「人間~生きる、生かされる命~」をテーマにしたご奉公の中心的なご奉公をになっていただこうというお話になり、世界中の方へ御礼をさせてもらいたいというご家族のお気持ちをいただいて、快くご奉公をお受けいただき、その打ち合わせのために、土曜日の午後、吏絵ちゃんとご両親が来てくださった。そして、そこで私ははじめて吏絵ちゃんに会えたのだ。


 嬉しかった。嬉しかったなぁ。本当に、思い続けた恋人にやっとの思いで会えたような気持ちだった。笑いながら吏絵ちゃんにもそのことを伝えた。8月、吏絵ちゃんご家族は横浜に来ていただける。その時には僕が案内するからね!と吏絵ちゃんに伝えて、楽しい時間だった。そして、お目当てのアイドルにお願いするように、写真を撮らせてもらったのだ。うれしー。ちょっと、こんなおじさんに言われても吏絵ちゃんにとってはいい迷惑だろうが、やさしい吏絵ちゃんは笑顔で応えてくれたのだった。ピース!


 本当に本当に嬉しかった。上手に書けないが、嬉しかった。

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