妙深寺の尼僧、妙清師は、長く死刑囚として収監されている方々に対して妙深寺が刊行していた「一実誌」を送付し、交流を続けていました。
当時、野村秋介氏はその刑務所に服役しており、氏は死刑囚の方を通じて妙清師と親交を深めてゆかれたのでした。
出所後、妙清師とのご縁を刻み、感謝の気持ちを形にしたいとのことで、壁一面にもなる絵画を寄贈くださったのです。
妙深寺は、日博上人の時代から死刑囚の方々への交流をはじめ、様々な社会活動を行ってきました。先住は、そうした歴史と妙清師の地道なご奉公を後世に伝えるため、寄贈の申し出を受けられ、本堂玄関正面に、大切に掛けさせていただくことにしたのです。
その後、ことあるごとに野村秋介氏は妙清師を訪ねて来られていたそうです。ただ、思想信条のために生きる野村秋介氏が本門のご信者となることは叶いませんでした。
残念ながら、氏は、朝日新聞社の社長室で自害するという、社会を揺るがす大事件によって生涯の幕を閉じられました。私たちも大変驚きましたが、先住はこの絵画を掲げ続けました。
今日、玄関の改良を検討しながら、久しぶりにこの絵を拝見して、ご因縁をご披露しておかなければならないと思いました。
妙清師は、すでに90才を越えられましたが、清和会が全員でお世話をしながら妙深寺の中で元気に過ごされています。
0 件のコメント:
コメントを投稿