この場所は特別な場所。世界遺産、アヌラダープラにあるアベヤギリヤ大塔。スリランカに紀元前1世紀から12世紀まで栄えた大乗仏教の総本山である。既に法華経の経典が遺跡から発見されており、仏教史を新たにするような発掘と研究が続けられている。
コロンボから離れて難民キャンプを訪れる前の中継地として、やはりアヌラダープラが選ばれていた。明日のための書類を手にして道を急いだが、アヌラダープラには日が暮れる頃の到着となってしまった。荷物を下ろして、一座の口唱会を行うためにアベヤギリヤ・ダゴバ(大塔)に向かった。
圧巻。夜の闇に浮かぶ姿。そして、天には幻想的な巨大なダゴバに降り注ぐかのように星が出ていた。三日月もこれを照らす。懐中御本尊を安置させていただいて口唱会を行ったが、何ともいえない気持ちになる。紀元前にワッタガーミニ・アバヤ王によって創設された当時は110メートルあったというのだから巨大さが分かるというもの。廃墟のように見えるが、今でも十分その偉容を誇っている。アベヤギリヤの住職とは三度目となる再会。突然の来訪と口唱会だったのだが、「部屋の中にいたら御題目の声が聞こえたので出てきたらあなただった。全て開けて待っていた」と言ってくれた。本当に、ありがたい。今後も、この大塔の研究と修復を含めて、ご協力をお願いした。
既に夜も遅くなっていて、明日が本番。視察をしてくれていたとはいえ、現地のメンバーも難民キャンプの中までは入れていないらしい。それはそうだ。政府の関係者ですら入ることが難しい場所。ガマゲさんの会社は週に2回キャンプに水を供給しているらしいが、それでもキャンプ内部には入っていないという。どんなことになるかは、明日、明日。とにかく、精一杯、ご奉公させていただきます。
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