2019年10月27日日曜日

孫の代まで語り継がれる奇跡の夜














金曜日の夜は奇跡の夜でした。


一生の思い出、孫の代まで語り継がれるような出来事があったので、忘れないために書かせていただきます。


大親友のお父さまのお通夜が行われる予定で、東京葛飾区の四ツ木斎場を目指していました。


ただ、千葉県を中心に雨が降り続き、午後には河川の氾濫情報も出され、京成電鉄も運転を見合わせていたり、交通機関に乱れが出ていました。


会場まで電車で向かっていた人たちも大変だったと思います。横浜から車で向かっていた私も約2時間かかり、想定していた到着時間より遅れて会場に着きました。


会場に到着する直前、お坊さんが到着していないと聞きました。2時間前に電話でお話をしたけれど、それから連絡がつかないとのこと。交通のトラブルか、別のトラブルがあったのか分からないとのことでした。


親友は御本尊さまを護持し、妙深寺のさくら霊園に墓地を購入しているのですが、お父さまは地元の名士で、ご親戚も多く、檀家寺の副ご住職が葬儀を行われると聞いていました。僕はあくまでも参列するだけのつもりで、黒いスーツを着て、お香典を持って、会場に到着しました。


しかし、前夜に、お母さまと友人の希望として、すべて終わった後、長松からお父さんに御題目を唱えてあげてほしい、と言われていたので、みんなお帰りになったら、30年分の御礼をこめて、集まった仲間とお参りさせてもらうことにしていました。同じく友人の河ちんの時も、そうしたんです。もう随分と前のことですが。


会場に1745分に到着しました。会場には400名の参列者がお通夜の開式を待っておられ、長蛇の列が出来ていました。


会場の入り口に、大親友が立っていて、「やはりお坊さんが来ない。のーくん、代わりにお願いします。」と言われました。そんなことがあるのだろうか。葬儀社の方も前代未聞の様子。でもお年を召した方々も立ったまま列に並んでおられるので、もう待った無しです。


実は、お通夜の後、仲間だけでお参りすることにしていたのですが、そのためにご弘通御本尊さま、白衣、御衣とお袈裟、馬乗り袴、足袋、なぜか下駄まで、全ての一式を車に積んでいたのです(普段は積んでいません)。


巨大な四ツ木斎場の階段を走って駆け上がり、2階の控え室でスーツを脱ぎ捨て、随行の清信師に手伝ってもらって本衣を身につけ、階下の会場に入りました。


1758分。御本尊さまを大前机の正面にご奉安させていただき、そのまま無始已来の言上。ご回向の詳細の書かれた願文もなかったのですが、お父さまに宛てた手紙のような回向文を作っていっていたので、それを元に言上させていただきました。


必死の50分間。会葬者は400名ほど。葛飾区長からの感謝状をはじめ、お父さまの幅広いお付き合い、地元の名士としての82年間の地域貢献、お付き合いのあった方々や4人の子どもたちの知人や友人たちからのお花が、遺影の周りを美しく荘厳していました。


御題目を必死でお唱えしつつ、お父さんの写真を見ながら、涙が溢れて、声がかすれました。


そういうことなんだな。


お父さん、そこまでするんですね。


本当に、ありがとうございます。


20年前、父を見送りました。僕の父は死ぬ前に「お前は俺の芸術品だ」と言い、「先に逝く者は残された者に宿題を残す。人生とは何か。死とは何か。では生きるとは何か。信心とは何なのか。」と言いました。


大きな宿題です。僕はまだ宿題を解いている途中なのです。


そんな父。親友のお父さんも、それはそれは偉大な方でした。自慢の息子であり、息子に気を使い、息子を応援し、息子を。。。。


金曜日の夜に起きた出来事は、すべてお父さんの采配だったように思います。


本当は、改良服と、略五条(輪袈裟)だけでよかったはずなのに、なぜ「すべて用意して、積んで」と言ったのか。そんなことは考えもしていなかったのに。


とにかく、無事に終わって、よかったです。遠方から、交通の事情の悪い中、お通夜に駆けつけてくださった皆さま、土曜日の葬儀に参列くださった皆さま、本当にありがとうございました。


たくさんの方々から「やっぱり長松が葬式やったんだ」と言われましたが、全くの想定外だったのです(汗)。僕はピンチヒッターでした。でも、それはきっとお父さまが与えてくださった機会なのだと思います。


最後の最後に、友人と共に親孝行させていただくことが出来て、僕も本望でした。


生まれて初めて「木魚」を叩きました(笑)。本当に、あり得ない、驚くべき体験、奇跡を目の当たりにしたような夜でした。


私たちの父の偉大さ、大きさには、本当に驚きます。


ここから、僕たちは宿題に取り掛かります。


よろしくお願いいたします。


ありがとうございます。

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