2011年5月18日水曜日

ナムミョウホウレンゲキョウ

今回の旅も終わりに近づきました。今夕、最後の仏蹟である祇園精舎を参観し終わりました。あとは、バスと列車を乗り継いでデリーに向かいます。感無量です。

全人類が被災者となった末法最大とも言える大難の最中、こうしてブッダの足跡を辿る旅に来たことの意味を、深く、深く、噛み締めています。覚悟が決まりました。そういう機会になりました。

仏教中の仏教が、私たちが追い求めているものであり、いま、世界に必要なことです。

祇園精舎はブッダが最も永く滞在されていた場所と言われています。現在は発掘と整備が進み、ブッダの居間を中心に世界中から参拝者が訪れます。私たちもこのブッダの居間に大御本尊をご奉安させていただき、一座のお看経を行いました。

私たちものセッションの前、タイの団体が法要を行っていました。真っ白な装束を着た150名ほどの団体でした。彼らの詠唱を聞いていると阿弥陀仏の名号が聞こえました。

そう、この場所は阿弥陀経が説かれた場所として知られており、阿弥陀経を信仰する方々はこの地を訪れて様々なセッションを行います。

しかし、私たちにとって、それは不思議な感覚もしますし、違和感があります。なぜ、阿弥陀経をブッダの本懐だと捉えるのか。

こうして、ブッダの足跡をインドで辿ると、この祇園精舎から出て、最晩年の8ヶ年を過ごされたラージギルでの法華経の御法門と祇園精舎で説かれた阿弥陀経を比べる意味すらないほどだと思うのです。

徹頭徹尾、私たちはブッダ釈尊です。ブッダをお敬いします。阿弥陀経で説かれた阿弥陀仏ではなく、法華経で説かれたブッダ釈尊の本体、「南無久遠実成大恩教主 釈迦牟尼如来」。ブッダ、その人。ブッダは法華経の中でご自身の寿命が永遠であることを宣言されました。そして、その命と交信する方法を託されました。

ブッダがどこかに行ってしまうようなお敬いの仕方は、どうしても違和感がある。本門佛立宗は、「ブッダの立てた宗」なのだから。

ブッダが法華経で託したとおり、上行菩薩は東の果ての国、日本にお生まれになりました。その方は、法華経の予言のとおりに数々の大難に遭遇し、その合致を見て、自身が上行菩薩その人だという自覚をされます。

上行菩薩、日蓮聖人・お祖師さまは、上行菩薩として法華経でブッダの口からは明らかにされなかった「法(ダルマ)」の正体を明らかにされました。それこそ、「南無妙法蓮華経」の御題目です。

この御題目は、声、音。音とは振動、波、バイブレーションです。ブッダの命が永遠であるのと同じように、この音、波も、宇宙の最初から永遠にあるということです。実は、御本尊の正体は、声であり、音です。

御本尊を物体として捉えている日蓮門下の団体にはこのことが分からないので、ある特定の日蓮聖人ご染筆の御本尊が一番だなどと解釈してしまいますが、それは人間の狭い了見や尺度から出てくる考え方です。本門佛立宗は御本尊の形態がいろいろあるなどという批判をするのは、ほとんどが御本尊を物体として捉えている残念な方々です。

もっと、もっと、ブッダの真意、お祖師さまのご本意に近づいてみれば、分かるのです。ブッダの命は、永遠でああり、その永遠の命と一つになる方法は「ナムミョウホウレンゲキョウ」という波長と一つになること。南無妙法蓮華経の御本尊に向かい、ナムミョウホウレンゲキョウと声を合わせる、一人よりも二人、二人よりも三人と、みんなで声を合わせる。こうして、一つになる。見える世界と、見えない世界。遠くの仏に祈るのではなく、ブッダ釈尊の永遠の命と一つになるのです。

ブッダ釈尊が「如来の全身います」と説かれたように、お祖師さまが「生きてまします御仏」と仰せのように、この御本尊さまを、ブッダが永年お過ごしになった居間にご奉安させていただいたことは、久しぶりの落ち着くお部屋にお帰りいただいたようなものです。そのように感じました。

この地で御題目をお唱えできたことを、感慨深く思っていました。インドで最後の口唱会となりました。タイから来た団体の方々にも聞いていただきました。これから、もっともっと、このブッダの命を、世界中の人に伝えてゆかなければなりません。究極の仏教で、世界を一つに結ばなければなりません。宗教団体と宗教団体が優劣を競うのではなく、御題目で包み込みたい。この険しい、難しい、人の世を。バラバラに、多様化、分化していくのが宇宙の宿命だとしても、だからこそ、一つになれるのは、御題目だけなのだから。

祇園精舎でも、綺麗な夕陽が見送ってくれました。

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