佐渡・歓要寺の開導会は9:30から奉修された。
私にとっては二度目となる佐渡・歓要寺へのお参詣。人間とはそういうものだと思うが、自分の在り方で同じ場所を訪れても全く風景が異なり、感じることも変わってくる。以前、訪れた時には、若かったことや勉強不足もあって、これほどまでに感激しなかったように思う。いや、その時も感動していたのだろうが、感じる内容が今回とは全く違っていたはずだ。
ホテルを出発し、佐渡の歓要寺に到着すると服部御導師をはじめ、佐渡のご信者さまや桐生・常薫寺のご信者さま方が外で待ってくださっていた。神奈川布教区では約100名の団参になったため、一座では奉修しきれなくなった。私たちが9:30の第一座、神奈川布教区の方々約50名は16:00の第二座へのお参詣となった。
ご住職である服部日入御導師は桐生にある常薫寺のご住職であり、第6支庁の支庁長でもあり、現在は弘通顧問でもある。大変な激務のご奉公。この度も京都での弘通顧問会議から直接私たちの受け入れのために佐渡まで来てくださっていた。有難い。
何より有難かったのは天候であった。この度の佐渡団参でもまた晴天のお計らいをいただいた。御導師からもご披露があったが、この週末は悪天候だと予報されていた。雷雨になるだろう、と。土曜日にバスが出発した後、朝参詣を終わってニュースを見ていると、群馬か栃木に大雨洪水警報が速報で出た。バスの道中が危ないと思っていたのだが、全く雨に降られなかったという。
降水確率は佐渡でも70%以上、昨日の予報でも60%ということだったそうだが、本当に有難いことに眩しいくらいの日差しで、キラキラと加茂湖の湖面が輝いていた。東京、横浜では大変な雷や豪雨だったと聞いたが、新潟でも大雨洪水警報が出ていたほどなのに、一粒の雨も降らないことはもちろん、太陽が燦々と輝いていた。有難い。
佐渡の歓要寺は昭和16年から服部随要師がご弘通をはじめられた。随要師は、
「お祖師さまが上行菩薩として御自覚するに至り、観心本尊抄等の最重要御書をお認めになられた法難の聖地、佐渡に上行所伝の御題目が弘まっていないことは何とも耐え難い。何としても一宇を建立し、ご弘通をさせていただきたい」
と誓願を立てられた。その気概、ご信心、情熱には頭が下がるばかりか、今の教務にそれだけの佛立魂があるかと往事の熱い御導師や御講師方と比べると恥ずかしくはならないか。
佐渡ご弘通の端緒は、この随要師からはじまり、徐々に徐々に島内に広がっていった。伝統的な気風や文化が残るという佐渡でのご弘通は辛酸を極めただろう。ある時には80戸のご家族がご信心をされていたという。そこに至るのも大変なご奉公だったと思う。しかし、現在は数軒、数人の方々しか残っておられない。佐渡は、現在人口の減少が昔に比べると半分ほどにまで進み、若い者の多くは佐渡を離れ、島内の「過疎」が進んでいるというし、あるいは伝統的な農村がそうであるように、お葬式になるとご信心をしている方でも村のお寺に頼むことしか出来ず、そうしたことからご信心が次の世代に受け継がれないという理由もある。いずれにしても、残念なことだ。しかし、だからこそ今の歓要寺を守ってくださっている方々が尊い。何とかご支援させていただきたいし、いつか聖地・佐渡のご弘通を担う若者が出てくるだろう。私も歓要寺の御宝前で随要師のお話をお聞きして、何らかのご奉公をさせていただきたいと思った。
8世日歓上人、15世日晨上人は随要師のこの誓願をお喜びになり、乗泉寺門末に「おけさ会(佐渡おけさの「おけさ」)を作ってこれを支援されたという。そうしたご奉公が集約されて、現在の歓要寺となっているのだ。
インドの聖地、あるいは奥地、スリランカの各地域でご奉公させていただいていることを思い浮かべた。そうした場所に本門佛立宗のお寺はない。当然ながら御本尊も奉安されていない。だから、インドやスリランカへは大御本尊をお供して出掛ける。ホテルのホールや様々な会場、時には山の上、時には草原や海岸で、その御本尊をお掛けしてお看経をさせていただくのだ。
しかし、このお祖師さまの聖地・佐渡には歓要寺がある。歓要寺にお参詣させていただき、そこで御本尊に対し奉り御題目を心おきなくお唱えすることが出来る。そして、そこで御法門が説かれ、御法門が聴聞できるのだ。何と有難いことであろう。
それも、服部随要師のご奉公の賜であり、物故功労の方々のお陰なのだ。
そして、その服部随要師を養父とされているのが、現在のご住職である服部日入御導師である。ご因縁の深さを考えると、何とも有難い。
2007年6月11日月曜日
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