よし調子に乗って載せてしまおう。
プロになってからだと思うが、私の若い頃には「ホットドッグ・プレス(HOT DOG Press)」という人気の雑誌があった。若者だったら大抵の人が読んでいるという雑誌だったのだが、そこからインタビューを頼まれ、調子に乗って取材を了承し、出させてもらったのである。ここに紹介する写真は、相模川の馬入橋の下で講談社のカメラマンさんに撮ってもらったものだ。(こういう具合だったから、父は本当に心配していたと思う)
若者文化の一翼を担う雑誌に紹介されることで、このスポーツの認知を促すことが出来れば良いと思っていた。なにせ、この頃は海に『網サン』を履いていくようなことはなかったし、ウェットスーツの着方を間違った過去のことなどはひた隠しに隠して、「海へようこそ。海のスポーツって言うのはね、、、、」などと偉そうなことを言うようになっていたのであった。(恥ずかしい!)
前にも書いたが、プロになるとその分野のスポーツ振興や安全面を指導する役割も果たさなければならないし、実際に夏の海ではトラブルが相次いでいた。サーフィンやウィンドサーフィンの方々、スキューバ・ダイビングの方々からも嫌われていたし、漁協のオッチャンや怖いお兄さんからも睨まれることが多かった。私たちは湘南の中でたくさんの仲間がいて、ジェットスキー以外のスポーツのプロやショップと仲良くしたり、漁協のお偉いさんに一升瓶を持ってご理解を深めることもしていたのだが。
そういう活動を通じて、マナーを守ったマリン・スポーツがみんなで楽しめれば良いと思っていた。
ちょうどその頃、私の住む横浜では『横浜博覧会(YOKOHAMA EXOTIC SHOWCASE '89 = YES'89)』が開催されていた。横浜市政100周年、開港130周年を記念して1989年(平成元年)、横浜の臨港地区(今のみなとみらい地区)で大々的に行われていたのだ。今ではすっかり横浜港のシンボルとなっている観覧車はこの時に設置されたものだった。
この博覧会の会場に「海のパビリオン」があり、江ノ島水族館からイルカも出張してきて演技をしていたのだが、私たちもそこで6ヶ月間ジェットスキーによるデモンストレーションを行った。まさに「イルカに乗った少年」(違うって)。反対側の埠頭からジェットスキーを海に下ろして、仲間と一緒に横浜港を横切る。その光景は今でも忘れられない。
この博覧会に、一度だけ父が来てくれた。今まで、映画に出てもテレビに出ても全くの無関心を装い、私のスポーツには何の期待も関心も寄せていないと公言していた父だったが(しかし、姉に言わせるとテレビを録画して、夜中に観ていたという)、京都から友だちご家族を招待して、「横浜博」に来てくれたのである。とても嬉しかった。いつも以上に頑張ったのを覚えている。
ジェットスキーを、私は孫悟空の乗るキント雲だと思っていた。最初は、どうにも自分の思い通りにいかない、立とうとしても全く立ち上がることも出来ない、世界で一番乗りにくいと言われる乗り物なのだが、乗りこなせるようになったら何もかもが思い通りになるのである。飛ぶこと、潜ること、180度ターンから360度、それ以上のターン、ウイリー、何でも自由自在で、雨の日も風の日も嵐の日も雪の日も出来る。波が15メートル以上ある台風の日にも海に出て、ピョンピョン跳んでいた(これは初心者は絶対にマネしてはいけません。いや、初心者じゃなくてもダメかもしれません)。
波で飛んだり、跳ねたりするのを、「ウェーブ・パフォーマンス」というのだが、たとえば3メートルの波をアクセル全開で飛ぶと、波の形にもよるのだが10数メートルも空中に舞い上がる。そのまま、頂点で軌道を変えて真っ逆さま、逆方向に落ちて(口で説明するのは難しい)、一旦マシンを潜らせ、そして出てくる。そういう「技」を競う(あれから20年。今では、マシンも技ももっと進化してログ・ロールという離れ業まで開発されているし、誰でも出来るようになっている)。
ホットドックの撮影では、その頃は珍しかった「ジャックナイフ」という技を紹介した。結局、この写真が載ることになったのだが、カメラマンは根性がある。後ろ向きで水に浮かぶカメラマンめがけて走っていき、カメラマンの頭を飛び越えて、マシンの軌道を空中で「ジャックナイフ」のように曲げて、着地するのである。その時に、カメラマンさんがシャッターを切るというわけである(いま考えると恐ろしー)。
とにかく、そういう撮影をしたり、競技をしたり、活動して、学生生活以上にジェットスキーのプロとしての生活をしていたのだった。
2007年6月23日土曜日
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1 件のコメント:
真剣さが伝わってきますね!
素晴らしい一瞬を腕のあるカメラマンに
残してもらって本当に有難いですね。
この頃の御住職は相当もてていたんだろうなぁ~
何でも一生懸命になった人の姿は
カッコ良いですよね!
お看経を声がかれるまで上げているチカちゃんの姿は相当カッコイイ!と思っています
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