2007年6月15日金曜日

アキラ君の新築御礼

 アキラ君の新築御礼の御講が、三ツ沢教区の教区御講に併せて奉修された。

 アキラ。僕にとっては特別な思いがある。中学校から高校にかけて、彼を預かったことがある。今からすれば何年前だろう。15年以上も前だろうか。

 その頃のアキラは、かなりグレていて、中学3年になると「板前になりたい」と言って高校に行くことを拒んでいた。もちろん、それも彼の人生であれば板前になることも何ら問題はないのだが、あまりに唐突で、本心からではないように思えた。家庭の中でも生活がまともに送れておらず、友人の間で流されているだけのようにも思えた。

 先住と私は、アキラをお寺に呼び、なぜ板前になりたいのか、どういう人間になりたいのかを懇々と聞き、話をした。
 先住は、そのアキラを妙深寺から学校に行かせることにした。アキラは、先住との約束をキッチリと守るようになり、朝一番にお寺にお参詣をして、私の母がお弁当を作り、そのお弁当を持って学校に行くようになった。

 学校が終わると、またお寺にお参詣し、食べ終わったお弁当箱を母に返して家に帰っていった。そんな生活が続いた。アキラは、生来真面目でやさしい。恥ずかしがり屋で寂しがり屋のところもあるが、それは家庭の環境がそうさせたのだと思うし、アキラが良い子であることに変わりはなかった。

 高校を卒業し、彼は介護の勉強をするために専門学校に行くようになった。恋をし、家庭を持つようにもなった。先住の御遷化の後のことで、結婚式を妙深寺で挙げさせていただいた。その時にも感慨はひとしおだった。

 結婚後にも、いろいろなこともあった。仕事のことや家庭のことで、彼なりに悩んでいることを聞いたこともあった。二人っきりで焼き肉屋に行って、いろいろな話をしたこともあった。しかし、その時にも奥さんの英子ちゃんは、本当に素敵な女性で、ずっとずっとアキラを見守ってくれていた。

 そんな彼が、今日は家を新築し、御礼をするという。仕事も変わり、二人目の子どもも生まれて、何とも有難いことだった。嬉しかった。


 この前にも書いたが、今月は若い夫婦の新築御礼の御講が続いた。家庭の中にご信心があることの大切さを感じる。

 夫婦であっても、親子であっても、私たちは御仏の教えからすれば「凡夫」であって、欲も深いし、大事なものを大事と思えず、流されてしまうことも多い。

 それを確かめ合い、近づけ合う御法さま、ご信心である。家族を一つにするための御宝前である。

 そのことの大切さを噛みしめて、アキラ、新たなスタートを切ってもらいたい。

 人生の大切な時々に、私は彼の側にいようと思う。ずっと見つめていて、彼を見守っていきたいと思う。

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