2010年3月28日日曜日

マサの結婚式

 昨日の土曜日は、後輩のマサと遙さんの結婚式。週末はどれも外せないご奉公ばかりですが、何とか調整をお願いして、マサの披露宴に出させてもらいました。彼らしい、あたたかく、楽しい結婚式となり、本当に出席できてよかったです。
 何としても出席しなければならないと思ったのは、一ヶ月前のマサから連絡が「ナガマツさん、主賓でお願いしますよ!!あいさつも、よろしくお願いします!」っという、何とも強引なリクエストがあったのです(汗)。おいおい、ちょっと待て、俺が主賓で挨拶っておかしいよ、と言ったのですが、バンクーバー五輪があったり、彼の仕事も忙しく、私も同じく忙しく、ついにその電話一本を交わしただけで、当日を迎えました。本当に、困ったものです(汗)。
 いま、彼は「OAKLEY(オークリー)」という世界的なアイウェア(サングラスやゴーグル)やスポーツツールを供給するブランドで仕事をしています。日本を代表し、世界の舞台で活躍するスポーツ選手たち、アスリートからアーティストまでをサポートし、世界を股にかけて活躍しているのが彼です。
 その彼が、運命の素晴らしい女性と出会い、結婚を決意。お会いしてみて、本当に彼女は魅力的で、明るくて、美しい女性だと確信し、そして安心しました。マサ、本当によかったなぁ。
 それにしても、今や世界で活躍するマサの結婚式の主賓が、お寺のお坊さんってどうなのよ?本当に、打ち合わせもせず当日になってしまって。電車に乗ってから後悔しました。
 披露宴会場で受付をすると、やっぱり、そうなってる。周りにはオークリーの偉い方々、お世話になっている方々、彼女の関係のレッドブルの偉い方々、前職である放送局関係のプロデューサーやディレクターがずらっとおられて、その会場のひな壇の一番前の席に、「本門佛立宗 妙深寺 住職 長松~」と書いてある。参りました。宗門関係で前の方に座らされるのより、こういうのは参ります。
 媒酌人のいない中の披露宴。冒頭にマサからの御礼の挨拶があり、その次が私の番(汗)。なんでやねん(笑)。ま、こうなったら仕方ない。参列している方々は、今の日本の、イケテル、ファッショナブルな、格好いい男女が集まっておられるわけですが、もう、仕方ないです。マサが決めたことです。受けて立つしかない。腹を決めて、ご挨拶をさせていただきました。
 「すいません、何で坊主が最初に出てくるんだろうって思いますよね。別にマサくんが新興宗教に入ってるとか、そんなんじゃないから(笑)」と前置き。地方ならいざ知らず、東京の結婚式でお坊さんは主賓というのは、本当に珍しいのです(汗)。とにかく、新郎との関係や彼の人となりについてお話ししました。
 マサと出会ったのは、今から13年前、彼が19才の時でした。当時、私は社会に出て、無我夢中で仕事をしていました。その頃、タレントのヒロミさんと共にミシシッピ川の源流からメキシコ湾まで6000キロを縦断するという無謀な計画を立てました。駒沢のカフェで話していた夢のような挑戦でしたが、正月の特別番組として放送されることが決まり、ロケは敢行される運びとなりました。しかし、簡単に長期の海外ロケに行けるメンバーはいません。
 まず、私は本人の意志とは全く関係なく、当時大学生だった清水清康師(得度前は「ヤス」)をミシシッピへ連れて行くことを決めました(笑)。そして、そのヤスに「パスポートを持っていて、1ヶ月アメリカに行ける、根性のある奴を探してこい!」と言いました。本当に、すいません、暴君みたいですね(汗)。いつも、ヤス、可哀想でした。
 そして、ヤスが高校時代のサッカー部の仲間の一人、当時「夜の接客業(笑)」を生業としていたマサを連れてきたのです。元気の良さそうな現代っ子だけど、サッカーしていたから根性はあるだろう、目が綺麗、という印象で、「よし、こいつでいこう!というか、他がいない、お前、行けるか、行け、行こう!」ということで、ヤスとマサは約1ヶ月、地獄のようなミシシッピ・ロケを経験したのでした。
 朝から晩までミシシッピ川の源流、ミネソタ州のベミディジ湖から川を下り続ける。途方もない計画で、ヒロミさんもスタッフもギリギリの状態での挑戦。ヤスとマサは陸上をサポートしながら移動してゆくのですが、休む時間はなし。真夜中にモーテルに入り、スタッフのウェットスーツを洗い、それを干し、乾かす、しかし、乾く暇もなく朝が来て、出発。毎日寝る時間は1時間か2時間か。そんな恐ろしい生活でした。
 しかし、高校を出たばかりのマサは、面白い、人間が良い、根性もある、しかし、チャラチャラしていて、大事な時にハズす(汗)。ロケ中、何度か大きなトラブルもあり、スタッフが凍り付くような出来事もありました。その模様が少し番組でも紹介されたくらい(汗)。マサの苦難の人生の幕開けです。本人が、一番ワケが分からなかったと思います。アメリカにロケに連れてこられて、想像とは全く違う、恐ろしく過酷な毎日で、しかも、今までの人生で経験したことのない厳しさ、毎日叱られ、怒鳴られ…。何が何だか分からなかったのではないでしょうか。
 最後の最後、ゴールした後のニューオリンズの食事会、日本から伊代さんも駆けつけて、温かく和やかな雰囲気となりました。夢が実現して、疲れも吹っ飛びました。しかし、その打ち上げでも、マサがちょっとテンションが上がりすぎて、またトラブルへ(涙)。ニューオリンズの街角で、私はマサを数発殴り…と、そんな出来事がありました。
 日本に帰国してから、マサは私の会社で働くようになりました。そこから、また伝説的な下積みの日々、修行の日々が始まりました。グァムからサイパンをジェットスキーで渡るという番組が決定し、そのロケハンに行く岩城滉一さんと前田さんに、マサだけを付けることになったり。若いから当たり前ですが、様々なトラブルが発生。叱咤激励の日々。彼の20代がスタートしました。
 ある時の岩城さんの大阪でのお仕事があり、不安ながらもマサを一人で付けることに。不安的中。岩城さんはグリーン車、マサは自由席。マサは新大阪で降りるのを乗り過ごしてしまい、大パニックに(笑)。まぁ、そんな恐ろしいことを繰り返して、何とか生き延びて(笑)、成長して、年月を重ねてゆきました。
 特に、私の社会人時代最後の仕事では、大活躍してくれました。180名以上のウィンタースポーツのトップアスリートを全世界から招聘して、苗場スキー場で行われた大会でした。スノーボードのハーフパイプ、冬季オリンピック2大会連続で金メダルを獲っているショーン・ホワイトは、この大会でデビュー。ホテルの中をウロウロしていたかわいい少年でした。とにかく、この大会でも、ヤスとマサは、いい加減な私を支えて、頑張ってくれていました。
 彼は情熱的で、何事にも常に一生懸命。ドジなところもありますが、とにかく、やさしい。とにかく、人に対して思いやりを持っていて、誰からも愛されます。実は、スポーツのプロ選手たちを扱うドキュメンタリー番組の制作やマネジメントをする世界では、これはとても大切なことです。しかも、ずっと地道に仕事をしてきて、失敗をして怒られて、それでも耐えて頑張ってきました。ムチャな上司や先輩たちの下で(汗)。それが、強い。
 しばらしくて私の会社からスポーツ専門チャンネル「スポーツアイ・ESPN(当時)」で仕事をしてもらうことになり、実際に番組やイベントの責任者として活躍するようになり、私がいなくなった後はプロデューサーとしても活躍し、そして現在のOAKLEYに転職。
 とにかく、19才のあの時から、こういう人生になっていったという、そのきっかけに、今は住職となっている長松がいたということで、結婚式の挨拶を頼まれたというわけでした。参列した方々には不可解だったかもしれません。でも、私自身、久しぶりにマサの現在の仕事ぶり、あの頃からの成長ぶりを知って、本当に、嬉しかったです。本当に、もったいないことでした。ありがとう、おめでと、マサ。自分で言い切ったように、はるかさんを世界一幸せにして。
 OAKLEYは、世界有数のアイウェアブランド。マサは先日のバンクーバー・オリンピックでも、日本の選手たちをサポートしていたそうです。スポンサーとして現地に入り、特に、スノーボード日本代表の國母和宏選手や工藤洸平選手の周りで、今回の騒動もあって、彼らの精神的なサポートをしていたそうです。偉い、マサ。
 今回の心温まる披露宴には、特別にビデオ・メッセージが寄せられていました。本当に、すごいアスリートやアーティストがお祝いの声を寄せてくれていました。冒頭に、ボストン・レッドソックスの松坂投手がマサの結婚を祝福し、歌手のAIさんが「Story」という曲をマサとはるかさんのために歌詞を変えて歌ってくれて(涙)、締めは宮里藍さんからのメッセージ。ありがたいですね。
 とにかく、マサの結婚式、こちらが感動しました。よくぞ、ここまで。みんなから愛されて、うれしいな、ありがたいな、マサ。
 不思議だな、人生は。こんな風になること、19才のマサを思い返したら、想像もつかない。でも、確かにミシシッピからはじまったんだな。
 幸せになってください、はるかちゃんを、幸せにしてください。新婚の二人の住まいに御本尊がご奉安されることなり、それが何より嬉しい。お前のような後輩、たくさんの友だちが、やっぱり、宝物、自分の存在価値、生きてきた証明。ありがたいよ。
 ありがとう。おめでとう、マサ。

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