2010年3月21日日曜日

本化桜の開花と評議委員会

 無事に春季総回向が奉修されました。本当に、素晴らしい、あたたかい日となりました。ありがとうございます。
 昨夜は、台風のような大嵐でした。私は結局御法門の勉強が朝までかかってしまい、4時過ぎの猛烈な雨と風、そしてカミナリの音を聞いていました。
 ブラインドがあっても、カミナリの閃光がピカッと光り、その後はゴロゴロ、ゴロゴロと続きます。あまりにもすごい閃光で、思わずデータを保存しておかないと落雷でせっかくのデータが消されてしまうのではないかと、ビクビクしながら朝を迎えました。
 ところが、平成22年度の春季総回向が開始される頃には、あの雨と猛烈な風は消えていて、本当に穏やかな春を感じる日となりました。12時の時点で910名のお参詣者との報告がありました。お会式のようです。ありがとうございます。
 午後は13時半から評議委員会を開催させていただきました。妙深寺が、宗教法人法に則って正常に運営されているかを評議していただく会議です。先住時代から「ガラス張り運営」だと評価と安心を得てきましたが、年々不備な点を改善して充実した議論を重ねられるようになってきました。

 社会情勢が圧倒的に変化しています。超少子高齢化、政治の流動化、一億総中流社会と呼ばれた時代から格差社会へ、終身雇用の崩壊と非正規雇用の増加、デフレ経済から超インフレ経済に移行する予兆も、所得の減少、ワーキングプアと呼ばれる人々の増加など、恐ろしい兆候も多々あります。「下り坂社会を生きる」というテーマが、当然のように語られる時代です。頭と発想を、切り替えなければなりません。
 人も、生活も、社会も悪くなっていくという悪循環を断ち切り、この不安定な時代に「法城」を護持し、その使命を果たしてゆくために、ご信者みなさまのご協力をいただいて、ご奉公を進めています。お寺としてのランニングコスト(経費)を削減しつつ、ご弘通のためのご奉公は分厚くする。「そんなことができるの?」と思われるかもしれませんが、確実に出来ます、出来るはずです。
 「御法さまのもの」「尊い御志」という「浄財」は、社会的な背景と自坊のご弘通の状況を冷徹に考えれば考えるほど、さらに貴重極まりないものであることを痛感します。私は、外見は非常に明るく楽観的に見えるかもしれませんが、とても、とてーも、シビアで、ネクラで(笑)、悲観的過ぎる面もあるんです(笑)。
 妙深寺で考えれば、「弘通」という二文字の、「弘」は「弘める人、その機能」と、「通」では「所属する全員にご信心を通わせる人やその機能」が、まだまだご奉公が不十分です。すべて住職に責任があります。機が熟して、次の段階を迎えるまでは、もうしばらくの辛抱だと思っています。それまでは、貝のように、静かに、ご弘通の「人」を、自分の身体を使ってお育てしておきたいと思います。
 つまり、妙深寺は、評議委員会の議題を見ても、予算案や決算書を見ても、ジッとしています。評議委員会の議事録は宗教法人法に則って、神奈川県庁と税務署に報告の義務がありますが、大きな事業がありません。「コピーのリース料が10分の1になりました」「ガソリン代が安くなってよかったです」とか、そういう話。横浜市から隣地を借りて、その代金も予算に入りましたが、同時に地下鉄の看板広告を止めたりして、プラスマイナスゼロ、とか。
 しかし、今回の評議委員会で最も大切なことが2点。それは、インターネット・通信インフラの整備と、将来を見据えたソーシャル・ビジネスへの準備が本格的に始まったということです。
 古い本堂でも、とにかくインターネット・通信環境を充実させて、全世界・全地域・末寺や親会場とのネットワークを敷設できました。遠隔地のご信者さんが御法門聴聞でご信心増進できる環境。妙深寺では毎朝御法門がある。その御法門を、とにかく聴聞していただきたい。お参詣くださる大切さは変わりはありませんが、お年寄りで外出しにくくなっても、遠方で一人でも、さみしい思いはさせない。将来は、病院の枕元でも、PHSさえ用意すれば妙深寺の本堂でお助行している姿が映るはずです。病院でも、さみしい思いはさせない。
 この会議システムを使えば、ご奉公の気持ちがあっても会議に出席できないという人が利用できます。妙深寺の大半の青壮年層の職場は東京。通勤に片道1時間は必要です。会社を定時に退社できる人も少ないご時世で、この会議システムを利用して、東京にいても、会社や自宅でも、ご奉公に出仕できるようになりました。もちろん、身体を使った本番のご奉公では、インターネットでは済まされませんが(汗)。とにかく、ありがたいシステムが完成・完備されました(お寺がボロだけど。とにかく、人づくりのためです)。
 本堂の24時間配信システムと、ガラスの間の会議システムは、どれほど喜ばれているか分かりません。国内だけではなく、シンガポールとも、ずっとつながれる。本当に、感謝されています。その素晴らしい機器とシステム。総工費数百万円もしたのですが、今回、石田さんが、御有志してくださることになり、今日の評議委員会で発表されました(涙)。本当に、なんと申し上げて良いか。言葉が見つかりません。わがままばかりを言って、急がせたり、仕様を変えてくれとか安くしてくれとか、無理なお願いばかりをしていたのに、最後の最後になって、石田さんからの御有志としていただくとは。本当に、言葉がありません。ただ、ひたすら、ありがとうございます。
 もう一つ、将来を見据えたソーシャル・ビジネスへの準備というのは、やはり、この「下り坂社会」の中で、お寺が果たすべき機能、本来お寺にしかできない役割や使命を追及してゆこうというプロジェクトです。特に、「食」や「教育」について考えて、佛立プリンシプルの下で、しっかりと推進してゆきたいと考えています。まだまだ、準備段階ですが、見えてきました。ムハマド・ユヌス氏のように、しっかりと社会の一人一人を見据えて、実現可能で、一回の寄付などで終わらず、半永久的に人々の生きる支えになり得るように、進めてゆきたいです。妙深寺を母胎として、こうした理念を持った人や社会的な動きが飛び立ってゆけばと夢を抱きます。
 ムスリムの発想ではなく、仏教徒がもたらす真のソーシャル・ビジネスの姿が見てみたいと思うのです。
 今は、そういうご奉公。評議委員会でも、最後のご挨拶でこのようなことをお話ししました。これから、さらに社会状況が悪化するかもしれませんし、日本国の経済的な沈下、人々の暮らしの不安定さはますかもしれませんが、だからこそ、「ご信心をしていてよかった」と思えるように、その中心にある妙深寺を護持・発展させてゆきたいと思います。細心の注意を払いつつ。
 本化の桜が咲きました。4月4日まで散らないで。いや、「散りますと花のいふのを聞いて飲め(御教句)」ですね。
 ありがとうございます。

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