いよいよ、七月十六日には立正安国論上奏七五〇年の御正当日をお迎えします。これを幕府に出したが最後、穏やかな御一生は望むべくもないと、お祖師さまは覚悟の上で上奏されました。そして、この決定したご奉公は、永遠に人々に記憶され、語り継がれることになる「現証の御利益」を顕すきっかけとなりました。
ご信心では、「口唱・折伏・経力・現証」という順序のキーワード、覚えやすい、合い言葉のような教えがあります。鈴江御導師が常々仰る御指南。本門佛立宗は「口唱、折伏、経力、現証ご利益宗です」と。私たちはこの佛立信心の筋を決して忘れてはいけません。
最初の「口唱」とは「御題目口唱」のことです。このことを外して佛立信心も何もありません。まず、自分の信心を固める。第一は何はさておき「御題目口唱」です。
二番目は「折伏」です。佛立宗のご信心で、一人信心はいけません。「誰かのために」と思って励むこと。それは、自分のためであり、人のためになる法華経のスピリット、魂です。
「幸せの横槌」を思い返してください。この「折伏」も難しく考えず、ご信心を勧める、謗法や懈怠をしている人に、間違いを指摘し、正しいことを伝えようと努力することですが、自分には難しいと思うと出来ません。
とにかく、誰かの力になろう、助けようと思って生きていきましょう。そうしていれば、必ず自分が救われる、幸せになってゆきます。
「我が身、罪障消滅のためには折伏行第一也」
御教歌には、
「己が身のつみほろぼしの第一は口唱 折伏 せよとある也」
三番目の「経力」、四番目の「現証」こそ、いま私たちが思い新たにすべきポイントだと思います。「経力」とは「自力」の反対語で、自分の力ではなく、この「御題目」「法華経」の御力によって、ご奉公させていただこうということです。自分の自力では、班長さんのご奉公も「自分には出来ない」と思って当然です。でも、そうではありません。
南無妙法蓮華経の御題目さまをいただき、その御力にすがって、御法門でいただく通り、素直に、正直に、自分考えを入れず、させていただけば、必ず四番目の「現証の御利益」が顕れます。人に御利益をいただかせること、感得させられるようになります。
開導聖人は御指南に、
「題目の行者は、信心ばかりにて経力現証を顕し、現証利益即折伏にて追々所々に弘まる也。末法当時はこの利生得益(御利益を得る)の筋にて弘まるのみなり。諸宗法花の習い損じを責めるは後にして、まず諸宗の病者にすすめて、閻浮提人病之良薬の金言を国中の諸人に信ぜしむるを弘通の心得とは申す也」
とあります。
まず、素直正直な信心ひと筋で、しかも自力ではなく経力で、現証の御利益を苦しんでいる人がいただけるように、お勧めをしてゆきましょう。
今月十八日、十九日の開導会では、良風寺の方々をお迎えし、佛立信心の醍醐味「現証の御利益」について熱く語り合い、学ばせていただきましょう。
また、同じくらい大切なキーワードとして、「うるし千ばいにカニの足一本」があります。いくら信心深いようなことを言っていても、謗法があるとか、間違ったやり方を改められずにいるという意味です。
お祖師さまは、
「何に法華経を信じ給ふとも謗法あらば必ず地獄にをつべし。うるし(漆)千ばいに蟹の足一つ入れたらんが如し「毒気深入失本心故」は是也」と御妙判になられました。これは「千杯もの漆の中に、蟹の足を一本入れただけで、漆の乾燥が悪くなり駄目になってしまう」という意味です。
ひとつの悪い要素が全体をダメにしてしまう。いくら功徳を積んでいても、謗法があればどうでしょうか。あるいは、永らくご信心をさせていただいていても、自分の悪い癖が改まらないようであれば、どうでしょう。開導聖人は、「治し難き病は古法華なり」とお示しです。信心していても、謗法がある、自分勝手、勝手解釈では、「うるし千杯にカニの足一つ」です。
そううならぬよう、信心改良です。みんなで、御正当月のご奉公に悔いのないように。
ありがとうございます。
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