昨日は教幹会が終わった後、小泉さんのお宅に一人で伺った。
御宝前の間に布団を敷き、そこに小泉さんが寝かされておられた。正教師は小泉さんの帰寂の直後からずっとお看経をあげてくださっており、瓜生さんや千延がご家族と共に小泉さんをスーツに着替えさせてくれていた。ワイシャツにスーツ姿の小泉さん。しかし、呼吸は既に止まっておられた。ご家族がご遺体の周りで御題目をお唱えくださっていた。柔らかく、笑っているかのようなお顔。
今日までの御祈願の御礼と御回向を御宝前に言上させていただき、お線香を上げさせていただいて、小泉さんの近くへ。布団をめくり、先日のお助行の時と同じように手を握り、御題目をお唱えさせていただく。「逝ってしまわれたのか」「遅くなって申し訳なかった」「よく頑張ってくださった」との思いが込み上げる。暫し、御題目をお唱えしながらお顔を見つめ、時間が止まったように感じた。
奥さまにご挨拶すると、奥さまから「最後の最後に『ご住職が言ったとおりにすれば良いんだよな』と言ったんです。そこまでご住職を尊敬していたんです」と。有難い、有難いが未熟な自分をうらめしく、恥ずかしくも思う。確固たる信心と、自分がこうして臨終を迎えるその瞬間まで帰依してくださるご信心に堪えうる者であろうかと、自責の念も浮かぶ。
「月を持つまでは灯を憑み給ふべし。宝珠のなき処には金銀も宝なり。白烏の恩をば黒烏に報ずべし。聖僧の恩をば凡僧に報ずべし。とくとく(疾々)利生をさづけ給へと強盛に申すならば、いかでか祈りのかなはざるべき」
との御妙判を引き、末法は聖なる僧侶への恩を凡なる僧侶に報ずべしと拝見しても、それで胸を張れるものではない。
「よい事をして懺悔をばしたるかな 今は心にくるしみもなし」
とお示しの御教歌のとおり、どんなに信行ご奉公に気張ったといえども所詮は凡夫。謙虚さと慚愧の念はついて離れず、どのようにご奉公をさせていただいていてもお寺に帰れば御懺悔を言上せよと先住(先代のご住職)に教えていただいた。
御講から戻っても、教区のご弘通発展を祈願し、所属のご信者とお参詣者の信行増進と御利益感得を祈願し、続けて「ご奉公中、知らず計らずの御不敬、懈怠、謗法を懺悔言上し奉る。懺悔の功徳を以ては、長松清潤、信心改良、謗罪消滅、弘通の器となさしめ給え」と言上するように教えていただいた。
「師弟共に凡夫」
と教えていただく中で、導師としてご信者方のまごころの帰依に堪え、ご奉公成就するためには御題目にお縋りするしかない。理屈でも理論でもない。心から、小泉さんの今生の、知らず計らずの謗罪消滅、寂光参拝の成就を祈念し、お通夜告別式のご奉公成就を期したい。
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