明日は6月1日。
朝参詣後の御宝前お給仕にあわせて、妙深寺が護持する高祖日蓮大菩薩ご尊像の「おかとう」のお取り替えをさせていただいた。
「おかとう」とは、お祖師さまのお首からお巻きしているもので、真冬は「羽二重」、「一重」、初夏は「絽」、真夏は「紗」にお取り替えさせていただく。生きてましますとお給仕をするからこそ、ますます「ご威光」が増すとのご信心でご奉公をさせていただく。
特に、妙深寺本堂に護持させていただいている御尊像は、私・住職のみでお給仕申し上げる。また、お給仕後は、お給仕中に「知らず計らず」の御不敬を御懺悔させていただき、さらにご威光を増していただけるようにと、御本尊にお願い申し上げる。
お祖師さまは「丁蘭」という方を孝の手本とし、開目抄に、
「丁蘭は母の形をきざめり。此等は孝の手本なり」
とお諭しになった。その丁蘭は、15才の時に母を失い、母の姿を木像に刻んで生ける母の如くに仕えた。蘭の妻はそれを妬み、馬鹿にして、ある夜、母の木像の顔に火を放った。たちまち、木像の母の顔は恐ろしい傷を蒙った。2日後、妻の頭髪は鋸で切ったように抜け落ちた。
丁蘭は大いに哀しみ、妻を説諭して3年もの間、拝伏させたという。それによって木像の傷が消え、元の姿に戻ったというのだ。
蘭が母の木像に対して、ただの木像ではなく生ける母として仕えたことにより母の木像もまた生身の証を現した。孝の至誠の表れとして、時の王は「太中大夫」という官職を授けたという。
私たちは、お祖師さまへのお給仕を大切に努めさせていただかなければならない。
先住のお怪我の際、先住が負われた頭の傷と同じ位置に、お祖師さまの「おつむ」も割れていたことを思い出す。不思議なことだが、これが信心である。
2007年5月31日木曜日
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